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五十年ボタン


新枦さん [sage] 2019/02/11(月) 15:48:25.66:0UJDePEe
このカテで合ってんのか知らんが書く
なまえ_____かえす日 [sage] 2019/02/11(月) 15:54:10.07:0UJDePEe
五十年ボタン?なんだそれ
五十才になった人が、役所に行って押すらしい
押して、どうなるんだ?
それは知らない

入籍を明日に控えた俺は、独身最後という事で、親しい友人に呼ばれ、飲み明かした。

五十年ボタンとやらが本当にある。

そう知ったのは既に銀婚式を明日に控えた昨日。役所から届いた手紙で知った。

『工藤 颯様、飛鳥様。この度は五十歳の誕生日、誠におめでとうございます。つきましては、五十年ボタンの日程を通達致したく存じます』
なまえ_____かえす日 [sage] 2019/02/11(月) 15:59:02.34:0UJDePEe
そんなものが本当にあるのか、、、。早速友人に連絡すると、友人にも同等の手紙が来た事、俺と俺の嫁、飛鳥と、友人は日程が違うことを知った。

二月十一日。

飛鳥と共に役所へ向かった。

待合室には大勢の、所謂『中年』が集まっており、若き頃の思い出は微塵も思い出せないような、人生の折り返し地点にいるのだと、改めて痛感した。

「工藤 颯さーん、飛鳥さーん、三番の待合室でお待ち下さーい」

俺は役所なんて滅多に来ないので、三番の待合室とか病院か!とか思ってたけど、そんな風に軽く考えていられるのも今だけだった。
なまえ_____かえす日 [sage] 2019/02/11(月) 16:01:20.00:0UJDePEe
「では、今から五十年ボタンを押していただきます」

目の前に出されたのは、クイズ番組とかで出てきそうな、赤くて奇抜なボタン。

飛鳥にも同じボタンが手配されており、二人で、せーので押した。
なまえ_____かえす日 [sage] 2019/02/11(月) 16:05:23.59:0UJDePEe
「ん?」

長く眠っていたような気がしたが、ここは俺の実家、、、?

いや、実家以外の何物でもない。この古臭いのに高いやね、昭和感漂う電気。

そうだ、ここは俺の家、工藤家だ。

「あら颯ちゃん起きたのね」

現れたのは、まだ少し若く、声の高い頃の母。だが、母はもう亡くなっている。

そうか、これは五十年ボタンを押すことによって見られるただの夢なんだ。にしても、母ちゃんに会えるなんて、俺は相当ツいている。
なまえ_____かえす日 [sage] 2019/02/11(月) 16:08:26.40:0UJDePEe
暫く母の顔を拝んでいると、これまた若くチャラい父がやってきた。

「おお!颯!起きたか!」

若いな。今の俺よりもきっと若い。

『へいへい、起きましたよ』

あれ、声が出ない。

『起きたよ!』

『え?は?』

瞬間、何かを察した。

恐る恐る自分の手を見つめる。

そこには、赤ん坊の手があった
なまえ_____かえす日 [sage] 2019/02/11(月) 16:13:14.64:0UJDePEe
は?
父や母の言っていた颯、これは紛れもなく俺の名前。そしてこの天井は紛れもなく俺の実家。なのに、俺は、赤ん坊。それに、母ちゃんも父ちゃんも若い。ってか母ちゃん生きてる。あと、妹がまだ居ない。あと愛犬のポチとナナもまだ生きてる。

要は、、、

ータイムスリップ?

いやいやまさか、いやでも、これだけの証拠があって否定なんて出来ないんじゃないか。

いやでもこれは夢、そうだ夢だ。

ぼんやりと天井を見つめながら再び目を閉じた。
なまえ_____かえす日 [sage] 2019/02/11(月) 16:28:13.73:0UJDePEe
次に目が覚めたのは、あたりの暗い夜。

さぁ、不思議な夢を見たが、走馬灯モドキに浮かれるのもこれくらいにして、、、。

もう一度、掌を見る。

赤ん坊の手。ん?この夢はまだ覚めていないのか?。取り敢えず用を足しに立ち上がった。

「え?颯ちゃん!?」

「ちょっとあなた!颯ちゃんが!!」

「何だ、騒々しい」

「って、あ”あ”!?」

「ちょっと梨花!病院連れて行くぞ!!」

「え、えぇ」

ここで一つ疑問がある。何故俺は立てるのに、声が出ないんだ。

そこで俺は衝撃の事実を知ってしまった。



「工藤さん、落ち着いて、冷静に良く聞いてください」

「は、はい」

「颯ちゃんが何故立つことができるのか、それはわかりません」

そりゃそーだ。中身は親父より年上のジジイんなんだから。

「そうですか、、、」

「ですが、一つ、新たに分かったことがあります」

「な、なんですか!?」

「颯ちゃんは、声が出せない、ということです」

え?。立てるのは紛れもなくジジイの俺が関わっている。だが、声は知らん。声は、、、。

「嘘、、、」

母は死んだ目をして呟いた。

「先生!!どうにかならないんですか!?」

父が怒鳴り出した。
なまえ_____かえす日 [sage] 2019/02/11(月) 21:25:37.22:eTIhulOJ
「これは三歳、脳の発達が始まり、記憶能力も発達してくる頃、ギリギリ治るでしょう」

「もしかしたら、颯は声が出せない事を引きずる可能性もある、という事ですか」

「はい」

過去の俺は、きっと助かったんだろうな。だって俺は、今まで知らなかったもん。けどなぁ。
なまえ_____かえす日 [] 2019/03/03(日) 16:34:42.83:+aGAjOON
あく更新しよよ

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