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千の世界


名前はいらない [sage] 2010/11/19(金) 23:54:36:Uw9fmxFP
sage進行。
評価・感想・雑談なし。
詩を描くだけのスレ。
◆zABAZSBt06 [sage] 2012/12/11(火) 00:00:00.33:dgjSxq47
瞑った目

力なんて抜けば良い
それで増える煩わしいことなど
撫で肩に掛かるカバンの紐を
直す回数が増えるくらいで
相変らずの千鳥足に任せて
目指す所に気にも留めず
昨日と明日を行ったり来たり

喉奥の小骨や
一場面しか覚えていない映画や
登った先を思い出せない階段や
その他諸々の鍋底のカスみたいな
取るに足らない遠い私の断片を
ただ遠巻きに一瞥だけして
後の整理は別の私に任せてしまえ

今日が駄目だなんて今更で
明日も駄目だなんて考えるまでも無く
ただ靴底減らして腰痛めて
防空壕で耳を塞いでいるうちに
物事が何とかなってるんだって
経験則上良く知っているんだ

降り注ぐ事態に深刻な物など一つも無く
歪んだワッシャやネジ穴の潰れたネジは
すぐ別の何かが代替することを
私は何故こんなにも恐れていたのだろう

また今日の代替品が
空を越えてやってくる
気付かない振りして
やり過ごすための言い訳を考えている
名前はいらない [sage] 2012/12/31(月) 12:11:49.98:kH68l20h
受容

ちゃんとけじめをつけなければ
延命はしないと決めたのだ
遅かれ早かれ切れる関係
今日ここでさよならを言おう
縋り付いては同じことの繰り返しだ
何を消さずとも済むようにと言った君
君だって同じ考えなのだと思う
美しいまま今日全てを受容できたから
ふたりの手でライフサポートは止めよう
意志を固くして振り返らずに
今日という日を区切りとしなければ
これが神の導きなのだ
◆zABAZSBt06 [sage] 2013/01/10(木) 20:57:51.67:Y1XCDDf7
三猿

私は未だに私を信じている
そんなロマンチストなのです

純真で無垢で盲目的な
理想的な絶対零度の純物質を
聞こえない耳と見えない目と
切り落とした四肢とで
立ち去る事こそ漂白なのだと
そこに立ち昇る消毒液の香りが
指先から垂れた線香花火の
未だ閃光の明滅で生を歌う様を
ガラス基板の表面に彫り上げるみたいに
私は私を解体したいのだと
夜に泣くのだと
朝に泣くのだと
そう信じているのでしょう

まだ私の目は開いているとは言えず
この街に月や日の出る日も知らず
誰もいつの間にやら遠ざかった
がらんどうの箱の中身は
もう零す物も無いのに内圧ばかり高まり
吠える犬の顔を確認することも出来ず
箱の中の箱の中を掻き混ぜながら
そこから大吉を引く確率を考える

私はまだまっすぐ息を吸い続けて
肺で漉し取った油で作った石鹸で
この寝ぼけた顔を洗うことを覚え
それでも使いきれない石鹸で溢れ
染み付いた街の空気はぬるりと揺れて
無差別に無くされた私達と
未だに逢ったのだと

私は未だに信じている
◆zABAZSBt06 [sage] 2013/01/22(火) 23:42:43.59:zLes/k+p
用法

冷蔵庫から昨日を取り出して
ラップを取って一匙分だけ刳り貫いて
その穴に周りから染み出す乳白色の
月の雫を布巾で取り除いてから
今日を搾り出して充填する

匙の中の知識は生きる知恵となり
私の首に掛ける紐の縛り方と
朝の目覚ましのセットすることとを
無造作に机に置くだけ置いて去っていく
ソレは口から摂取する物なのか
はたまた耳に流し込む物なのか
その問題を解こうとする突発的衝動こそ
知恵なのだと笑って迎えられる日の出は遠く
最早目を瞑ってでも
紐も縛れるし時計のセットも出来てしまう

布巾を強く絞り零れる一二滴を掬い
錠剤型に詰め乾燥させて
三日ほど放置してから蓋を開けると
真っ白い神経伝達物質様の花火が出来て
それを慣れた手つきでビンに溜めながら
乾いた川底の残り物に手を伸ばして
その端から崩れる着底した船舶が
嘗ての航路を示した羅針盤だけを残し
その方向に何があったのか
目を凝らしても何の感慨すら沸かず
ビンの底骨の粒が鳴る音を
足音に見立ててただ立ち尽くす
お腹も空かせたまま

半開きの冷蔵庫からの冷気は
砂漠に吹く風のように回路を短絡させ
元の水路は乾いたまま
匙に付く欠片分だけの歌を口ずさむ
◆zABAZSBt06 [sage] 2013/01/23(水) 23:20:20.04:SWPGviSo
拾い物

波打ち際で踝を洗われるまで踏み込んで
連続と錯覚する速度で何度も鼓膜に染み付けて
生まれる振動を触れる事すら躊躇う寄木細工で繋ぎ
かたつむりが火打石で沿岸部からのメッセージを届ける

遥か彼方から手紙の残骸をバラバラに解いてから
手慰みにまた手漉きから読む当ての無い声を張り
また一粒の砂を詰めたビンを海洋へ投棄して
かみ殺したままの欠伸の機嫌を取る作業へと戻る
◆zABAZSBt06 [sage] 2013/01/27(日) 16:56:57.31:8CZZ13eR
課題

暮れる空を早いと落ち込み
明けぬ空を遅いと怯えて
そのくせ
しんと落ち窪む早朝が日に照らされて
膨張する速度に吹き飛ばされそうになる

鋏を手に紙を前に机に座り
そこから掘り出す曲線はフラフラと
手から落ちる切片を片すのが先か
手に残る切片を片すのが先か
どちらも暗示を仄めかすかのようだ

片づけを始めると見えるものがあり
それ以上に隠れるものの扱いに戸惑い
二次元に立体を埋め込もうとペンで引っ掻き
影に斜線を加えることは正しいのだと
水面に映る顔が歪む理由を風に押し付ける

手に取った古本の表紙をなぞり
そこに刻まれる皺を直す術を考えて
暖めて引っ張って潰してパテで埋めて
題名に筆をいれ本のサイズを差し替えて
ついでに中身を改訂し尽しまた古本屋へ向かう

去年は靴の跡を幾つ付けただろうと
来年は幾つのドアノブを廻すのだろうと
今年引き抜くであろうティッシュを先に積み上げて
崖下に敷き詰めて境界線を靴の裏で削りながら
目を瞑り次の一歩が足の裏に触れるのを祈る
◆zABAZSBt06 [sage] 2013/01/30(水) 21:34:23.94:8+Kdsqmj
GPS

入り組んだ小道は見通しも立たず
時々チラリと透ける垣根越しに夢が咲く
線香花火から零れた星をいくつか拾い
子供の精一杯の知恵により整備された
帰り道はいとも容易く解れて消えてしまった

また海を見に行こうと約束を交わして
埋め立てられた沿岸部のビルを仰ぎ
見つけられないパズルの一片を
自ら厚紙より掘り出して補完するように
私は無作為に代謝されていく

とりあえずこの身を起こそう
枕にした腕は取り外されたみたいに他人行儀で
サボり気味の右手はたどたどしくキーを叩き
バックアップとインストールとを繰り返して
積み過ぎたジェンガみたいな自画像に首を傾げる

後ろさえ振り返らなければ
取り返しが付かないことに気付かないで居られて
それでも攣りそうな足の裏と数えた溜息の回数とが
不幸にも私の目に光を解読する術を学ばせて
拾い集めた星が北極星じゃないんだと気付いてしまい

私は夜に道を行く術を学び損ねたのだと項垂れた
名前はいらない [sage] 2013/05/28(火) 16:44:48.40:BNbgv6S3
「持ち運ぶ」

個人的に保存しているのが既に数千ともいえるから
実際に存在するのって数万以上なのだろうか?
そのうちいつも一緒なのは今のところ160
それは徐々に増えています

君があり得ないんじゃないかと笑ったとしても
自分の中では絶対に確かなんです
例えば、昔自分で全くわからないって言っていた持てない男のやつ
あれとか今ではもろですよ、99.9%間違いないと言える
◆zABAZSBt06 [sage] 2013/07/16(火) NY:AN:NY.AN:UHpx+ur5
Ca

舌の麻痺している内に
遠い昔に海辺で拾い集めた貝殻や
グラウンドに幾度も引かれた石灰や
文字や数字やらの記号で夢を描いたチョークを飲み込んで
もっともっともっともっとカルシウムを
あの透き通っていると錯覚させるが如くに沈殿した
火葬場で見かけた白く白く白く堆積した
私で在ったあのカルシウムを
少しでも良いから
零れてしまったミルクを返してください

周りの見渡しても何も変わっていないのに
私の眼球は瞼の裏側から顔を出さず
そんな人見知りまで私に似てしまっている、と
ディスプレイに苦笑しながら夜の又の下を潜り
倒した写真縦を撫でてみようかと逡巡しつつ
冷え損ねたマグマがまだ沸々と滾る気配に縁取られながら
カルシウムがまだ欠落しているのだと
また私は空の星を齧り始めるのだ

それなのに
まだまだまだまだ欠落が満たされず
骨年齢は正常値なのに
モザイク画に見たい色だけ見つからず
象の墓場にも鯨の墓場にも人の墓場にも
私の骨が見当たらない

あの夢で死んだ私を私はいつまで探せばいいのだろうかと
今日も煮干を齧りながら思案に暮れている
名前はいらない [] 2013/08/02(金) NY:AN:NY.AN:z2G6tDqa
うむ
名前はいらない [sage] 2013/09/27(金) 05:38:13.67:szGxhLTa
サディスティックに捲し立てる君も嫌いじゃないけどさ
素直な優しさが一番好きだよ

いつまでも今の状態ではいられないよね、
特に私みたいな者は

一時でも暗がりで二人きりになれたこと嬉しかった
名前はいらない [sage] 2013/09/27(金) 11:05:47.73:PV7VVILW
仕事おつかれさま!
昨日はごめん、仮にこれが本物なら何も焦る必要はないのでした
これから生きて行く半世紀以上の方が、今迄のめくるめく数年より長いのです
脳内でだけって思ってる?私にはこれも一つの現実なんだけどな

あ、突然決まった事だろうから今回は仕方がないけど今度は早めに教えて
こっちも仕事入っていて急に変わってもらうのは無理
この数年で10回近く色々と特別な催しに足運んだけど
目の前のあなたは本当に神々しかったですよ!
普段の面白いあなたも勿論大好きですが、何か別の生き物でしたね
シートンにだって研究できない!
あの声、「準備万端や!」って野太いネタ声が、今胸にあります
本人よりこっちの方がどきどきしててアホだ
毎日やってることだから全く屁でもないことなのに...
ああ、ジャグリングの軌跡
名前はいらない [sage] 2013/09/27(金) 11:14:16.78:PV7VVILW
6行目→急に代わってもらう
名前はいらない [sage] 2013/11/04(月) 14:39:52.17:UixmFxW9
聞きました
全部納得したからもういいですよ
元気でいてください
今まで本当にありがとう
名前はいらない [sage] 2013/11/24(日) 18:23:52.26:VIjyUt6F
「考える葦の重荷」

さよならがあって何度でも生まれ変わる
それはどういうことなのでしょう
人が強くなるということですか?
本当に何年だって耐えてやるって覚悟があるとか?
お節介だけど、こんなことしているのは何故ですか

精神とは何ですか?
傷つくことと満たされること、虚構と真実
そういうことがわかったと言ったのに
どうしてまだ糸口さえ教えないのですか
ずっと訊ねているのに言わないのは本当は知らないから?
◆zABAZSBt06 [sage] 2014/03/11(火) 23:11:50.05:1L3oxtIk
即興劇

遠い海の底に差す陽光が
人類の溶けた目を満たす閃光と
時を同じくしてひっくり返された天地に
もう既に遅かったことだけをただ指し示す
延び切ったシナリオを照らしている気がする

この気持ちは一体なんだろうか
それをここへ書き示す術もなければ
許可も申請もせずに心持ち俯いて
埃だけは毎日払い落としたまま立て掛けた
ギターの弦に浮く錆びに触れられない

チューブからひり出すマスタードの
焼けたパンの上で渦を巻き中心から覗く目に
捕捉される前に焦げ付いたベーコンで塞いで
マグカップ上の湖面も対岸も眼中に納めず
扉の向こうに耳をそばだてる

論理を飛躍させるほどの起爆力を有さず
辻褄を合わせられるほどの舌先を持たず
結論に辿り着けるほど山道は整備されず
ため息が霧散するほど展望も開けておらず
否定で舞台を去れるほど後頭部は禿げてない

永さだけなら人間同士じゃさほど変わらなくて
転んだ数なら空や地球と同じ土俵に立ち様も無く
幾度と無く焼かれ落ち窪む眼窩に酒を満たし
そのコルクが引き抜かれるタイミングをジリジリと待ち
膝頭のかさぶたの痒みに演劇の幕明けを知らされる
◆zABAZSBt06 [sage] 2014/03/18(火) 22:48:03.90:yGrHFHnr
化石

怪物に見下ろされる街が震えている
足早に太陽も月も街路を通り抜ける
時間すら居心地悪そうに針を廻し
昼夜がカラカラと細い糸を紡いでいる

目に映す物に迷い千切れ雲を数え
散逸と集積はいつか囲んだ焚き火のようで
燃えカスが燻り遠くなど無いのだと言い張る
気が付くと編んだミサンガまで煤けていた

ここは海溝の奥に降る雪に沈む街だ
吐く息も吸う空気も白濁して埃っぽく
COPDに苛まれて紫色の顔を歪める
セコンドに立つ誰かはまだタオルを投げ込まない

蟠る悪臭は怪物の息吹だろう
目に見えない毒素が雑踏を震わせ
カラスさえも鳴きもせず電線に揺られ
暗渠へ流れ込む水が耳鳴りを呼び込む

怪物がこの街を蹂躙するのだろう
それがここの住人の口癖
その顔に浮かぶ笑みは白痴にも似て
糸は紐となり首飾りのように巻きつき

地面の落ちるときをまっている
◆zABAZSBt06 [sage] 2014/03/22(土) 02:38:14.73:0wd5o/ud
歩調

不安定な塀の上でふらつきながら上を見る君と
安定な地面の下にめりこみながら下を見る僕は
同じガチャポンから生まれたのに
何でこんなに瞳に塗られる色が違うのだろう

僕の眼球は今日も雨の日の排水溝を見ていて
君のガラス玉は何処を見ているのは虹色をしている
その光景はまさしく夢のようなんだろうなと
砂利を取り除く目薬を求め机上を執拗に撫でる手を
君の網膜に映っている事実に顔が赤くなりそうで
開かない瞼にもどかしくも安心を覚える

まだ君は立ち昇る煙を追いかけるつもりなのだろう

寄り道ばかりに精を出す君を時々見失い
慌てて足の裏を痛めるのは僕ばかりで
その手を引くつもりが
その手に繋がれていないと漂流してしまう

それらのに君の視線は宙に縛りついて
また道からふらりと外れて人ん家の庭を踏み
僕はその穴の対処にため息を付いて
湿った土の臭いに親しみすら感じてしまう

僕と君の目に映る色は違うのに
僕らは同じ寝床に包まり夢を見る
未開封な掴んでいないほうの手中の
割符が一致することに待ちわびつつ恐れている
名前はいらない [sage] 2014/05/22(木) 08:08:51.04:mA5Kmpoc
オモニ(母ちゃん)って主に重荷だってこと?
もしかして彼女との間に何か問題があるから誰彼構わず毒りんご投げるのかな
まあ、勿論彼女が大切だからこそ悩むんだろうけど
名前はいらない [sage] 2014/05/22(木) 08:09:36.40:mA5Kmpoc
君の考えは大体わかるよってこっちの思考は読まれているのにあなたの考えはまるでわからない
ね、ほんとに何考えていてこの仕事のやり方なの
私には本当のことだけを教えてってお願いしたのにどうして大事なことを隠すの
いつか答え合わせしようって、その前に万一私が死んだらどうするのさ
名前はいらない [sage] 2014/05/22(木) 08:10:59.51:mA5Kmpoc
離れていく、って意味は昔の己(A地点)から変化する前進するってことでもあるのだろう
人生は長い一本道だから、その上に徐々に変わってゆく成長する己がある
一つ一つの点は一瞬の出来事ですべては過去になるけれど、それは死ぬまで永遠に連綿と連なる
その言葉には多少あれって感じがしてたのだけど、進歩だと考えるといいのかな
名前はいらない [sage] 2014/05/22(木) 08:20:35.61:mA5Kmpoc
元を取るってなんか計算高い
今思えばあなたも私もお互いのために時間や労力を費やしたのかもしれないけど
誰に理解されなくても私は幸せだしこれが今の最善だと思っている
考えたり悩んだりする時間は無駄ではないのです
時には一直線以上に意味があるはず
◆zABAZSBt06 [sage] 2014/06/06(金) 23:58:13.58:8lU8eD9W
寝不足

私が私の今日を包む包装紙を開くようにベッドに火をつけて
狂ってくるくると定まらない羅針盤にレコードを置いてみる
ちぐはぐでちくたくとぴーちくぱーちく囀る咀嚼音と
睡眠時に散々すり減らした奥歯と顎の軟骨の違和感とが
まだ着替えもしていない私の背を押し玄関へいざなう
灼熱の砂浜に無防備な素足を晒した時間は跳ね回り
その時間に片手を掴まれ右往左往に東奔西走の大立ち回りに
デスクトップの右隅のメール通知のポップアップで息を継ぐ
かき混ぜているのはソーダで割った蒸留酒なのか
明日の予定を書いて裏返した53枚のトランプなのか
どちらにしても運が良くも悪くも極端に走ると非日常が顔を出す
どうでも良いんだと煙草を燻らせる夢を見る
実際はもう当の昔に吸わなくなり湿気た煙草を眺める
そこから零れる煙と見間違う陽炎が過労に喘ぐ目を撫でる
この涙は枕すら濡らさずに乾いていくのだろう
まだオブラートすら溶け出さずに胃の中でかさかさと音を立てて
内側に畳み込まれた毒の甘味をまだ知らずに済んでいる
一歩目に踏み出す足に迷い逆立ちをして左手を前に出して
バランスを取り切れなかったかのように満員電車に押し込められて
まだ昨日すら消化しきれないまま
朝顔と勘違いしそうなほど早熟に萎みだす今日と
柔らかな二枚葉を空に向けて開く明日とが共存するプランターが
奏でる不協和音に振るうべきタクト捌きを希求し続けている
名前はいらない [sage] 2014/06/16(月) 22:52:48.48:l9WFraKe
どうしてまだ画像ずっと繰り返し見てると思うの
昔の話をよくするからかな
しかし、すでに削除していて記憶で話しているのかもよ
大切な思い出は君にも重要なものなんだ
全部を抱きしめているからこそ、君も私の話の中でのそれらを認識したのかな
名前はいらない [sage] 2014/06/18(水) 04:26:17.51:ET5m0ZAJ
怒る場面に気づかない

動揺して切れる

優しさがわからない

自分を制御できない

変なやつだ

変な俺は生きてくのが大変だ

誰にもわかって貰えない

自分でわかんないんだから
当たり前だ

ただ変な奴だとは皆が知ってる

自分だけが知らなかった


そこまで知ってるのは

今は俺だけだから

そこは俺だけの世界だ
◆zABAZSBt06 [sage] 2014/06/29(日) 03:39:46.99:sYsvM/au
彼誰時

悲しい朝が来る前に
植木鉢に水をあげて
こみ上げる嗚咽を
コンポストとして蒔いて
まだ目を覚まさない赤子を
悲しいまま一撫して
山稜が空の皹のようで
生れ落ちる日輪を待ちながら
けれどその隙間から零れる
雨脚の強さに顔を上げることさえ難しく
ただ地面に萎れる草花を
打たれて伏せる露草を
庇うこともなく悲しいままに
お湯が沸くのを待っている

あの子はまだ夢みることもなく
暗闇にぽつねんと浮かびながら
嗚咽も露草の打たれる音も聞かずに
ただ脈動する生命に耳を塞がれ
暖かい夜が割れるのを
悲しい朝に泣くことを
ただ待っている
◆zABAZSBt06 [sage] 2014/07/01(火) 23:23:30.60:BhQn4x7j
微結晶

地面にこびり付く一つの小石が
遠けき空から射し伸ばされる光を散乱し
浅ましくびかびかと喧しい

いっそ一つの理想的黒体となれたならば
この煩わしい喘鳴を撒き散らさずに済むのにと
チアノーゼ気味の斑模様の顔を眺める

私は無価値の石英や雲母からなる儚げな
びかびかと乱雑に手を振り回しては

早晩にも崩れさる一つの花崗岩なのだ
◆zABAZSBt06 [sage] 2014/07/07(月) 00:41:41.49:DXMDS4GG
思考する哲学ゾンビ

空に溶ける光の固形物を瞼にかざす掌で眩しげに
この道を歩む穂波にみえる雑踏は一様に真っ当で
火の付いた導火線を胸に抱えて精一杯に顔を綻ばせ
足の裏に感じる脈動に背中を撃たれつつ
球体を無視して視線は宇宙の一点に結ばれる

繊毛やら鞭毛やらを弛まなく駆動する無意識に
液体や気体へ漕ぎ出す冒険心に背中を押されながら
零れる月光を溜めた湖に火照る足を軽く浸して
降り止んだ雨の残滓の手を借りて空に立て掛けられた梯子を
昇るにはまだ早いと蒼く照らされた道の先を見据える

まだまだ腹の中にも背中にも蓄えられる余裕を感じ
藁を食んだり背負ったりして荒地に道を敷きながら
首に掛かる炸薬に腰を折り見遣る導火線の長さを想い
ただ独りの歩行はたどたどしく蹴躓きつつも
花を咲かせるに足る豊穣の地を求め続けている

たまには日陰で微風に撫でられるのも必要で
日焼けでひり付き過敏な肌はくすぐったさを感じ
やつれる手足の芯の泥炭に顔を顰めながら
胸に刻まれるささくれに薬を塗られる皮膚感覚に
明日転生する私は目を瞑ることに成功した

虫に追われる定めを背負う罪人ならぬ罪人を収監し
少しずつ失われバグに見舞われる歩行者は横切り
生まれたばかりの四股が折れそうな岩を背負いながら
包んだ掌に守られる一粒の雨粒を拾い集めて
チン、となる欠片同士を一つの瓶で受けとめながら

噛み砕いて飲み込んだ
◆zABAZSBt06 [sage] 2014/10/13(月) 19:39:20.87:NTZ8I1XG
ドーナツの穴

階段を登るみたいに目の前の道を登って
乾いてひりつく喉を空気が逆撫でていく
疾うに止まってしまった心臓が重たく
その代替品を探すために随分と歩いた

脳も勇気も心在るのか不安だけど
心臓がないと体がしんと冷えていく
その体に生える手を見ると青白くて
冬の夜の雪を血管に詰め込んだみたいだ

胸にポッカリと穴が開いたかのようだ
その穴に風が通るから、喉が渇くし体も冷える
心臓は止まったんじゃなく、落としたのかもしれない
だから内臓の収まりが悪くて心も不安なのだろうか

歩いている内に世界を一周して私は私を見つけた
その私は階段を登る前の私で、背中の穴から私が見えた
無数の私達は紐の切れたビーズみたいに淋しげで
伽藍堂の暗がりへ手当たり次第に嵌め込んでみている

かく言う私もその穴に青色LEDを設置して
前後の出入口にすりガラスを嵌め込んでいる
足の裏の充電器は歩く度に電気を貯めて
胸の穴の中のLEDを控えめに灯すために浪費されていく

青白い拡散光は遠目から見ると肌の色と似ていて
私は雑踏の中の一人で在る限り他人と見分けが付かないだろう
けれど風は隙間から吹き込んで体を瓶笛にして奏で始める
その音色に一人二人が振り返るけど、直ぐ人混みへ戻っていく

いつからか、私は心臓のことを思い出せなくなっていた
喉の渇きも、身体の寒さも、慣れてしまえば日常になって
LEDの光は夜道を歩くのに多少便利だったりする
淋しげに鳴る瓶笛だけが遠吠えみたいに零れ落ちるけど

その声はこの街の中では響くこともなく、応える声も聞こえない
名前はいらない [sage] 2014/12/27(土) 14:07:35.74:9au7YVzV
危ない薬 〜その後〜

気分よくなれれば何でもよかった
それにも飽きたら次の何かにいくのだろう
そういうの別に否定はしませんから
一時だけでも何者かであれたとしたらそれでいい
吸殻のように捨てたければご自由にどうぞ
落胆などしませんから

こちらも快楽に溺れていたのだろう
小さな舟で夢の中に漕ぎ出したくさん星が流れた
最初の一瞬だけだったが心が通い合った瞬間もあったように思われた
そのことが忘れられず感覚を失っているうちに現実に戻れなくなってしまう…
あとは現実逃避の虚しい毎日があるだけ
この人生を正当化するために死ぬまでに何が出来る?
名前はいらない [sage] 2015/01/20(火) 15:05:34.42:Mzc4LJkB
現実の話
目の前にあるのはどぶ川のようなもの
海へと流れる○川の放水路
時々天候が荒れるとクラゲが泳いでいる
だから海へと続いているのだなあとわかる
あの人のことは羨ましいとは思うけど
でも自分には無理なことだった
あの表現からも生まれ変わらないと無理だと読み取れる
次こそはきらきらと光る天の川のように綺麗な川を...
名前はいらない [sage] 2015/02/10(火) 18:39:06.44:/zV9GhKb
創造

その仕事はすばらしいものだけど
やっぱり大変な葛藤があると思った
凡人には想像できない世界
光明が射した時の喜びも大きいのだろうけど
どうしても浮き沈みがあるし
色んなジレンマとの戦いみたいにみえる

でも何か目指すものが見えたのなら耽々とそれを追っていって
我がままを通せばいいよ
自分は自分で他人にはわかりようもない存在
自分というものを一番大切にするべき
◆zABAZSBt06 [sage] 2016/05/21(土) 17:52:24.04:69eEAR98
湿気

夜の下に這い回るトカゲは
草むらの中で太陽を探す
乾いたウロコはまとわりつく空気と擦過し、
淡い燐光が輪郭を取り戻させる

まだ歩き出したばかりだ
それでも、爪の中には土ばかり
腐れた枯葉はカサリとも鳴らない
地衣類の燐光に花開く

境界の崩れる季節の中を
トカゲが一匹横断していく
名前はいらない [sage] 2017/06/14(水) 23:58:24.91:Mv2SQCiS
うまれた国か家かそこが一番いいからさ
もうダメだって何度も言ったけど
スカスカの柱と怒鳴り声の子守歌
忌み嫌われる黒い翼が朝の空気を包んでいた
彼らの歌について行って踏み外した足が水面につく瞬間と
もう帰っていいよと聞こえた瞬間は重なっていた
名前はいらない [sage] 2017/06/15(木) 00:49:16.91:AuxXZGiI
100年前にできた工場は星をかみ砕く歯を作り続けている
人は3回生まれ変わって4回目がわたしたちで
星をかみ砕く歯の作り方を学び作り続けている
5回目の人たちも同じである
各回の代表が話し合った結果同じ工場を新設することが決まった
頑丈な星は平和であった
名前はいらない [sage] 2017/06/21(水) 23:50:43.60:hVs3DyHP
泥の中に頭埋めて探してる
そのまま逆さまになったまま固まりそうだ
好き嫌いが動けずに期限切れで演技が終わる
満ちてる酸素はとても清潔で息を止める癖が忘れられない
名前はいらない [sage] 2017/06/22(木) 06:43:00.71:x2m++QYO
残り時間が高騰していくのを利用して
思い出の1本1本を花束にしてリボンをかけて
所々に供えるのはあまりきれいではない
お互いに変わったと言ってあまり変わりない状態で別れるのも
反省のない反省で変われたことにした花束
きれいなのは1本だけでぼくに突き刺さりずっと枯れずに咲いてるものだ
名前はいらない [sage] 2017/06/25(日) 04:22:39.95:DeF0k36F
勇気を責めないでやってればあいつはまだここにいて
蚊帳の外で蛙の声と合間の静寂を楽しんでいたことだろう
眠ろうと倒れた場所に人のような形を残して雪が解けた
愛を求めないでいればわたしはもうここから去って
絵の中で月の暖かさと触れられない光に気づくこともなかっただろう
名前はいらない [sage] 2017/07/31(月) 04:43:33.00:x9c25zEs
風の中 細いロウソクに火を灯す
笑う顔をマネすれば誰でも幸せになれる
消えてるほうが楽だとすり込まれた鳥は落ちやすい
両手で囲んでるくらいがわたしたちの温度
守るフリして握りつぶしてしまう鳥の温度は落ちやすい
笑ってさえいればなんとかなる
無風の中 ロウソクを灯すのは難しい
◆zABAZSBt06 [sage] 2017/11/18(土) 01:58:41.12:CABg3qp2
蔓延りゆく繊毛

私の明日が保証されなくても、
どれだけ時間が私の前を通り過ぎようとも、
点が線で結ばれますようにと祈るのです。

また灯が一つ新たに生まれました。
その陰で灯台が嘆息と共に目を閉じました。
細く細く継がれた呼吸が止まりませんように。

まだ、まだまだ此処が罅割れるまでは遠く
それでも空は何度ともなく生まれ変わります。
乾いた瞳にもまだ、まだまだ夜は早いようです。

私は私の中に根を張る感覚を知っているような気がしました。
それは何の種が割れたが故の因果なのかは解りはしません。
それでも、確かに迷妄の最中に光る軌跡を見た気がするのです。

スピーカーから滾々と紡がれる清らかな水の音と、
人々の体の奥底から湧き出す熱量とが何やら科学的作用によって、
時計の針をこんなところまで聖火のように運んだようです。

それでもまだ、携帯電話は沈黙を続けております。
地中から、はたまた虚空の端から、滴りだすのを眼球が追うのを、
獣の心や植物の心や無機物の心が強いております。

私は傅いている様な心持の中で、
四股を、牙を、爪を、筋肉を、骨を、心臓を、神経を、精神を、
扉の向こうでドアノブを掴む存在に仕向けるのです。

口の中が乾く衝動に舌の蠕動を赦しながら、
私は、

あなたに夜が訪れることを、ただ願っているのです。
◆zABAZSBt06 [sage] 2017/11/18(土) 02:33:42.54:CABg3qp2


僕だって、「愛してる」なんて直球に言ってみたいよ。
だけど、それでも出来ることが有ればそうでないものも有るもので、
ちょうど、僕にとってはそれが、そうで有るというだけなんだ。

だからと言って、勘違いはしないでおくれ。
僕は君を食べたくて食べたくて仕方がないことを、
今ここで表明してもいいんだ。

それで君が嬉しいと思うかは、僕には解りようもないのだけれども。

泥の中から生まれた世界に建つのは塔で、
その天辺から見る朝日に価値を見出すのならば、
僕はそれを掌に掬い取って、君の前に晒してみせるよ。

焦げる臭いの中で、僕らは一つの火の玉へと昇華され、
もうこの世界に夜なんて言葉さえ燃やし尽くして、
空に星が有ることを辞書から消し去ってしまおうか。

その体の震えは何を意味しているのだろうか。
瞳の中には僕なんて最初から最後まで映していやしないのに、
それなのに、なんでそんなに見開いているんだろう。

背中の方からの呼び声に耳を澄まして何を聞こうとしているのだろう。
指先が赤く悴んでいることにも気を留めないまま、
僕の口端から零れる衝動に君は気づいてるのだろう?

ほら、カーテンコールが喝采もなく日を捲り攫っていく。
地平から視界を覆う箒が沈殿するビル群を押し流していく。

ただ一つ建つ塔の上で、君は僕に何を言えばいいと思う?

その答えを以て、僕は君の目に映ろうか、君の眼を食べようかを決めるから。
◆zABAZSBt06 [sage] 2017/11/26(日) 21:25:00.74:m+C5igeL
汚れ

何も言えることなんてないのに
声を吐かずにいられないのに
冬の光合成みたいに
真っ赤な顔してもがいているんだ

何も言ったことなんてないのに
言葉を紡がずにいられないのに
夏の集積回路みたいに
判んなくなってまで泣いているんだ

何も言いたくなんてないのに
言葉を零さずにいられないのに
春の天地の境みたいに
熱で魘されながら引っ掻いてるんだ

何も言うはずじゃなかったのに
言葉を絞らずにいられないのに
秋の暮れた教室みたいに
押し潰されながら息を止めてるんだ

喉を摘出したかったんだって
頭を胸に抱えてながら途方に暮れた僕に
聞こえるのはやはり僕の声ばかりで
生きているんだって
生かされるんだって
泣いて、泣いて、泣いて

込み上げてくる産声が
空に反響することなんてなくて

ささくれて
擦過に
一度咳き込んだ
◆zABAZSBt06 [sage] 2017/11/26(日) 21:51:40.26:m+C5igeL
窒息

言いたいことなんてないのに
何でこんなに胸が苦しいんだろう
寂しいって言葉にどれだけ意味を重ねるんだ
弱みを晒して
骨すら掘り出して
その輪郭を引こうとして
地平線の向こうまで伸びる筆を探してる

夜が救いなのは見なくて済むからで
でも急いて街路を通り過ぎるのは
怪物の息遣いみたいに
喉奥に嵌め込んだふたを叩く音がするから

嘘を付くつもりで付かれた嘘を丸呑みして
対消滅して生まれた宇宙が爪を立てて
借金取りみたいにケツを蹴飛ばす時針に
縊れに挟まった僕は
吠えることも忘れて
流れた涙が
染み込んだ砂に
磨り潰されながら
胸に当てられる掌を探しているんだ

吐き出すほどに積み重なって
延ばす手は冬の枯れ木みたいに
曇り空を切り開きたくて
星を
ただその煌きを
夢見ながら
腐れた枯葉に取り囲まれていく

夜が
夜に

溶かされて
溶け込んで

水槽の中で形を無くしたいんだ
◆zABAZSBt06 [sage] 2017/11/26(日) 22:20:09.66:m+C5igeL
雨垂れ

胸がいっぱいで
抱き締められたいんだって
セックスを思い出して
許される許可を夢見て
人間は悲しいんだって
笑ってる

朝は続いてて
切り取られたいんだって
抉り取った夜を飲み
延ばした髪を手梳いて
人間は脆いものだって
立っている

傷に手を当て
着の身で着のままだって
爪弾かれた朝日に
目を向けまいと強いられ
人間は強情ぱりって
歌ってる

綴じた紙に触れ
暴いて汚したくって
罅割れた瞳で
零れるままに歩いて
人間は致しがたいって
去っていく

そうまでして愛して
年輪を書き足してまで
吹く風に
流すのは

ただの吐息だって教えておくれ
◆zABAZSBt06 [sage] 2017/11/26(日) 23:09:20.22:m+C5igeL
シミ

吐き出すたびに嫌ってほしくて
マネキンと接合された右手で
ロードローラーで整地された
海底を触れる夢を夢見てる

ホッチキスで留めて
吸うことも吐くとも許さなくて
ミツバチの針先に
染み込ませたインクが乾いてる

栓抜きで排水溝を開いて
夜でマグマの喉を潤したくて
虹を横断しながら
充電器を指す先を探してる

足りないんだって
足を無くしたマネキンに
流した滴は涙なんかじゃないと
プレパラートに閉じ込めた

カメラで撮ってみなよ
カビの生えたレンズで
切断した時間に
挟んだ言葉が拭い去れない

鍵と鍵穴の関係みたいに
そのぼやけた約束事を
油紙で包んで懐へ差し込んで
開く日をただ恐れている

掻き毟って
書き殴って

墓を暴き立てたがっているんだ
名前はいらない [sage] 2017/11/27(月) 07:26:44.69:kyAPU+e7
曇りのち曇りに生えた神経は どこに連れて行ってくれるのか
手遅れで見た自分の罪状になすすべなく 
そこから垂れ流した謝罪や感謝の信ぴょう性を疑うのはその本人
再犯を恐れるなら 弱肉強食のわかりやすいルールで餌になること
断続的な雨に腐った神経は土に還れただろうか
◆zABAZSBt06 [sage] 2017/11/27(月) 22:21:08.30:NahFVArb
乾き

今日は僕を盗んだまま昨日へ逃げて
伽藍洞の空間に刻まれた輪郭が
光の屈折で風景を少しだけ歪ませて
風が小首を傾げながら通り抜けた

踏み出した足の感覚まであいまいで
嘘っぽい草の葉擦れだけを頼りに
何処へ行こうか途方に暮れたまま
昨日が溶け込んだ虚空に手を伸ばした

朝の日も夜の星も浴びられないままで
姿見の前に立つのを恐れるほど輪郭を軋ませ
すれ違う動物の目を避けるように
転がるように光から身を隠そうとした

何を盗まれたかなんてもう忘れてて
何を無くしたかさえボンヤリと明滅して
それなのに
縁取られた虚空に吹く風が寂しげに泣いている

グチャグチャでメタメタでカラカラで
いっそ溶け込んでしまえと
時計の針を指で無理やり回して壊して
浮き上がらるばかりの境界の上で

自棄になってインクを飲み干した
名前はいらない [sage] 2017/11/30(木) 10:08:58.62:AS8qR57Y
右手と左手に壁がある 素敵な一本道の迷路
曲がり角ごとに既視感が転がってる
時折落ちる鳥の影は踏んではいけない
蒸発する生命線を握りしめ 電話で話せるのはあと一回
生きる理由とやらをさがす理由をなくすのは心地いいものだ
そう思って見た足元には鳥の影があった
名前はいらない [sage] 2017/12/01(金) 03:29:44.30:xF3i9JkF
感情をなくせたら最終形態
無我の最終処分場は神様の皿の上
枝先のテントウムシみたいに簡単に飛び降りるカルト信者
カマキリのカマが桃色のハートを描く
生け花に枯れるしかないなんて誰に報告義務がある
だから静かに叫べばいい
感情を失いたくないのなら
◆zABAZSBt06 [sage] 2017/12/02(土) 21:28:55.60:4xWunFxh
決別

流している滴をそのままに
つま先の指し示す先へ歩くあなたの
突っ張った肩にスカーフをかぶせて
その横顔に見える傷跡に
差し伸べる手がなくて
もう遠くへ行ってしまった先人の
霞んだ足跡を撫でる風の優しさに
ただ、痛みを堪えて
背中に
その小さな背中に
小さな花の香りを背負わせた

昇っていく儚い灯で
あなたはどの星を目指すのだろう

皴も無い軟布を
両の手をきつく握りながら
その潤んだ瞳で
一歩を踏み出すたびに脱ぎ捨て
露になる肌が
まとわりつく霧雨に染まり
その境界を合間にぼかして
振り返りもせずに
振り返りもせずに
ほのかな香りだけが
足跡みたいな名残惜しさだと
それが暖かさだと
濡れた服に凍える人を撫でていく

小さな帆で風を受けた船で
何処まで行ければいいと

乾かないままの頬で笑うしかなかった
名前はいらない [sage] 2017/12/04(月) 02:29:19.66:cz5UMPQY
深層無意識は幽霊の海
無は有の対局で並列で同位で いつも取って代わろうとする
退化していく猛獣はヒエラルキーの角で潰れた
そうであってくれと願いながら沈殿物は泳いで漂って海面に顔を出す
性善説の母と性悪説の父からうまれたことをパクパク飲み込みながら
そろそろまた溺れるしかないんだろうと 他人のような無意識が語りかけてくる
◆zABAZSBt06 [sage] 2017/12/06(水) 21:10:41.06:qGh+ixyF
順番

泥濘を踏みつけるような日々だと
下し気味の腹を抱える青ざめた顔に
プラットホームから見えるレールは赤熱し
チリチリとこびりついた血痕を煙らして
熱いんだか、寒いんだか
顔色を窺おうにも瞳は火傷気味で
今時分が如何程なのか
腕の時計は自動巻きにも関わらずに止まり
一体どれくらいここで待っているのか
震える足で立つ場所は皮膚の上みたいで
病的な皮から生える産毛になったようで
汚染された栄養が足から這い上がって
胸の奥に粘ついた衝動を沈殿させて
一歩、踏み出さなければ
張った根の先が腐れ堕ちるよりも前に
そう思っているはずなのに
耳元で
底が有るだけマシじゃないかと
後ろ手で縛られた骸骨が眼窩から泥を滴らせ
引き抜けなくて
そのうち悲鳴が他人事のように通過して
レールが白く白く磨かれ輝いて
ゼンマイに油が差され
開いた扉が
面倒くさそうにホームから私を間引き
右から左へと流れ去る病的な皮膚が
染み付いた血液が
ただの風景でしかなくなって
シクシクと痛む腹を抱えながら
ただ足が有ることだけを確かめるかのように
じっと下を見ていた
◆zABAZSBt06 [sage] 2017/12/08(金) 20:01:52.91:eb6CSoJx
凍土

忘れられた道に降る雪は融けず
薄氷の上に更なる静けさを積層する
やがてそれは凍土と呼ばれ
一面の亡羊たる粉雪達の震えの下に
かつての罪人たちの足跡を隠しつつ
プレパラートのごとく標本として留めた
色のない絵の具を筆に載せて
吐き出された最後の声に色を付けて
それもまた一つの氷となり
軋みに似た音を立ててパズルの一片へとなり下がる
薄明時に燻らせるのは紫煙だけではなく
蛍の置き土産に焼かれた山肌が吐く朝霧もだ
氷河は一切を押し流していく
それは時間軸上の地滑りみたいな永遠で
何も変わらないまま私の手は皴枯れていく
また日が昇り、月が昇り、影が追い越していく
執拗に繰り返される摩擦にすら舗装道路はびくともせず
コンクリートは忘れてくれるというのに
降り始めた雪は一歩すら許すことなく記述して
街灯に照らされた地表の濡れた凹凸に
夜が帳を下すみたいに魔法をかける
重ねられた日々の可視化に耐える術を見失い
その内この身すら白い起伏の一つになる
悴んだ指先に溶ける一滴に
いつか誰かが、もしかしたら私が零した涙を見て
こんな日は誰もが泣いているんだと
足の裏側に凍てついた地面の下から
数億と層を成す寂しさが
縫い止められたまま私ごと滑り落ちていく
◆zABAZSBt06 [sage] 2017/12/08(金) 23:33:15.61:eb6CSoJx
『無花果』

広げた掌の下に膨らむ宇宙に
無数の魂が内に籠り夢を紡ぐ
やがて肥え熟す個々の花は孕み
その差し出した腹を死神の鎌が裂く
声は聞こえない
蓄財と不老とに狂う群衆が
無音の中から薫る甘露に手を伸ばす
柔らかい膜は震えるように張り詰め
気にされることもなく毟られ
千年王国は遠く
一万数千年に渡り鎖に繋がれたまま
億の宇宙が
兆の夢が
獣たちの白い歯を赤く染め
枝から滴り落ちる白濁が
人間の皮膚を犯すのは
ただ、生れ落ちることを知らぬ者たちの
吐き出すことの出来なかった精液の迸りが
臓腑で溶けた魂と受精するからに他ならない

花の無い果実は
目覚めることのない赤子のように
地に落ちることも忘れて
胎動する無数の夢に
日が映えることを
掌の下で
ただ、じっと待つ
◆zABAZSBt06 [sage] 2017/12/10(日) 00:21:04.13:c6SPm2yZ
DTM

選べた物は何もなく
それでもこの道を踏みしめるのが
脅迫神経症的であろうと
確かに、言い訳も出来ないほどに
自身の絞り出した声なのだと
骰子を転がした掌を握る

夜の凍土を切るような星明りの下で
取り合ったのは肉質な接触ではなく
そこに居るのだという互いの承認で
吹き荒ぶ雹粒に瞬かせる瞳の中に
それでも、ここに居るのだと
凍り付いた掌をただひたすらに握る

顔料のはげ落ちた絵画の中で
それでも幽かに吐息が今も息づいて
掲げた群衆の拳を奮い立たせる熱が
ことさら綴じた本の中で数行の印字となり
乾いた紙片を撫でる掌に残り香を移す

進むたびに変換されるタイプライターに
分割された行動と思考と情動との境を
埋める術など言葉には一つとして備わらず
それはそれとして、アナログの鼓動を
五線譜に落とし込み今に伝えておくれ

それとなく進んでいくこの足によるパンチングは
いつか何かに読み込まれたとき何を喋るのか
偶発的に吹き上がる間欠泉の硫黄臭に
太古に存在した私に続くリズムを確かに聴いて

乱雑な不協和音と交響する
名前はいらない [sage] 2017/12/13(水) 22:44:15.33:v1ppTPKq
記憶の最初の友はレモン色のインコ
しばらく犬はこわかたし 猫はわからなかった
何も知らなかった
今はそう 
ネコは尊敬し いぬは恩人 インコはひとりで見る月
指先に肉球を逢わせれば あのSF映画の意味が沁み込む
熱くないように 寒くないように 痛くないように 苦しくないように
寂しくないように 飢えないように 

陽だまりで 木陰で うつらうつら
わくわく 柔らかい草の広い広い原っぱを
思いっきり走り回っている
名前はいらない [sage] 2017/12/17(日) 07:15:20.01:88bytqzh
生前墓参り
時落ちる度 血を分けられたはずの親と呼んだ人が遠くなる
今までありがとうございましたと つぶやきながら 後ずさりしているうち
いつの間にか砂の一粒のようになり 忘れてほしい
わたしはあなた方の望むように 幸せにしてあげられませんでした
お互いの間の接着剤の塊がころっと落ちれば なかったことになる関係
それまでの間の関係
代替えの幸せもどきを金に変え レジ袋につめ 埋めていく
あなた方にとって砂の一粒になるまでの埋め合わせ 
詩帝・二階堂 ◆3H/4wGejElAB [age] 2017/12/20(水) 09:55:23.83:vMiEHFJ9
「童貞または自我分裂症的な躁鬱」


俺の垂れ流した赤目のドクロは
ドロドロと地の汁を吸い上げ
やがて一人の裸の女となる。

それを聞いた
女の恥部に宿る蒸れた熱を

それを捧げた
肉にいだかれた盲目なる刻印を

豪雨の如く浴びた情熱は
地獄の薔薇のように暴れたかと思うと
白鳩の羽となり一斉に飛び散った
◆zABAZSBt06 [sage] 2017/12/21(木) 21:41:05.12:EceK3zP2
撫でる手

逃れようもなく目の端を埋めるのは
地平に蓋をするかのような山脈

切り取られた空に差す日は短く
天頂に舞う鳥はあんなに高いのに
地べたはいつでも腐れ果てて
漂白された花弁が項垂れている

時折聞こえる地崩れの音が
壁から逃げられずにいつまでも
いつまでも頭の奥を揺らす低周波のようで
耳孔に接続されたイヤフォンを掻き毟る

あの頂は恐らく岩石などではなく
空が捨てた外殻で
夜の建てた墓標で
人よりはるかに早く刻まれた時間で
瞳が途絶えるまで停泊する箱舟で
その原点から聞こえるノイズに
外側から覗かれている視線を幻覚してしまう

目も鼻も口も、もう入りきらないのに

鳥はいつの間にやら消えて
花はもう泥濘に溶けて
空は振り返りもせず通り過ぎ
夜は残り香のように染み出した

忘れた頃に届く手紙のように
彼方からの冷たい指先が
仕舞損ねた裾野から熱を奪っていく
◆zABAZSBt06 [sage] 2017/12/28(木) 23:20:16.07:0/rEU9Wm
漂泊

擦過の度に薄くなる月の
深い享楽に析出する犬歯の鋭さが
夜更かしが癖になる病人の胸を突く
煌いているのは埃のはずだが
肺の奥が少しずつ凍るのは何故なのか
吐息は綺麗なままで
それはつまり汚れたままで
喘いで仰け反る際に見せる首筋が
余りに細く、細く
それは水面に映った鋭角で
地表を貫いて
咳をして
震える肌に逆立つ産毛は
淵を撫でる手の冷たさにではなく
狂気に削り取られた生命の残滓による
刹那の間に投影される燈火の熱のせいだ
酔いの醒めやらない地表に
立ちすくむ木々から伸びる枝は絡まり
内に籠る胎児は夜を忘れ
汚すことも知らず
色白の肌を青紫に染めながら
それでも仰ぎ見るのは
遺伝子が夢見る疼きに似た痛みなのだ
朽ちていく白銀から注ぐ鱗粉に
広げられた掌は無力でしかなく
刺さるほどに削ぎ落されて
一巡するたびに入り口は遠のいて
細く
鋭く
ただ、白く

白く
名前はいらない [] 2018/02/12(月) 16:15:59.93:zYRw8/V7
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暇な人は見てみるといいかもしれません
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D66VV
名前はいらない [sage] 2018/02/17(土) 18:51:03.71:HpiWNM+Y
ゆっくり呼吸して 痛みから解放された
五線譜から湧き上がる 人魚姫の泡
きっと今夜は星が増える
そして彼女の唄は誰かが唄う
昨日の昨日の奥底に沈むその泡を 追い続ける子供たち
夢から覚めて泣いた真珠の子供たち
名前はいらない [sage] 2018/02/17(土) 19:28:42.90:HpiWNM+Y
からからに乾いた喉から幸せがもれた
「その勇気があれば何でもできるでしょう」って本当でしょうか
そもそも勇気は必要なかったのだから
うるんだ喉からまた幸せがもれた
まだ愛するあのこの名前をつぶやいただけなのに
名前はいらない [sage] 2018/02/17(土) 19:43:31.74:HpiWNM+Y
影絵の中で踊る影を見た
真夜中の海を綺麗だと言った
全部嘘だと思った
アンテナが無い事を意識して やっと人形になれると思った
操り人形のひもを噛み切った人形の決意
名前はいらない [sage] 2018/02/17(土) 19:56:00.96:HpiWNM+Y
大丈夫といいながら無理な仕事をしてるから
大丈夫かと優しくたずねるサイコパス
いつからわたしたちの脳は壊れていたのだろう
泥のごはんを食べさせて
おいしいでしょうとスプーンで食べさせる
はじめから脳は壊れているんでしょう
ストロベリーの香りのする血は洗っても消えない
名前はいらない [] 2018/02/19(月) 00:45:51.28:NUKvMqQh
檻のむこうの4つの眼 扉を閉めてもそこにある
開けられるのは自分だけ きまりなどはそこにない
動機の中に理由もない ただそこを開けるだけ
語ってくれたら語りたい 語り部の背後の木々が熱さに揺れる
名前はいらない [sage] 2018/02/19(月) 01:12:29.83:NUKvMqQh
頭下げて瞼綴じる あとは空は白くなるだけ
小さいダイヤに約束を隠して はじまりのイチョウの葉に帰った
そこは君にとってのポプラだといえば理解してくれるだろう
失った友達の木を探しにいく らせんの季節に薄紫の花が咲く
名前はいらない [sage] 2018/02/20(火) 10:07:25.07:mNXdNsam
こすもすくじらの航路 玄関のポーチで浮遊
恐怖に支配されても飛び降りる がっかりさせたくないから
あの時と同じシチュエーション
はるかかなたのツリーに飾りはてっぺんの星ひとつもいらない
夜を知らない夜の中 こすもすくじらのうた響く
名前はいらない [sage] 2018/02/21(水) 23:58:40.31:ovy+WEJA
バスの外には寂寥
人のことがわからないなら自分のことも行方不明
バスの中は海中
ひび割れた地面を歩く魚
名前はいらない [sage] 2018/02/22(木) 02:14:46.48:kkzhdwWv
全人的社会の周囲は抗体に縁どられ 飛び火し渦を巻く
この際だからアレルギー反応で絵や歌の症状にすがる
ここだけの話がどこまでなのか 口から漏れないように耳を塞ぐ
耳をすましながら 秘密をききたい
全人的個人は蕁麻疹に驚いて 思わずしゃべってしまう
秘密の抗原は耳から侵入する
◆zABAZSBt06 [sage] 2018/02/24(土) 01:12:21.91:ZNE/fmo9
喪失

夢の中は透明で
深く深く覗き込んだ彼方に
暗赤色の夜が瞬いて
その雲母を透かしたかのような
生温さに指先を浸し
まだ来ない今日を
むず痒さに似た喪失感の中で
拙い運針で掬い上げながら
形のない
薄絹の心許無さに
笑みを浮かべ
さざめく声を聞いた気がして
指を止め
その指は解け
確かに縫い止められ
私は喪ったのだと
やはり笑みを浮かべ
あげた瞳に見えるのは
相も変わらずの純真で
雲母は遥かに揺蕩って
こそばゆく
名残惜しさを
感じているのか
感じられているのか
泡沫に映る湾曲した空が
一つの鼓動で震え
今度こそ
それは声で
呼ばれていない私は
繋いだ端切れを
宙に浸して
ささやかに
目礼で
去っていく私を祝うのだろう
名前はいらない [sage] 2018/02/25(日) 12:41:34.97:Ea41lC8P
灯台のライト あおい鳥貫いた
献身的飛行にあたたかい終止符
ぼくから外れたパーツの空洞に異物になったぼくが埋まる
「あなたは何パーセントオリジナルですか?」
「きみは支配者ですか?」
 
夜中のサイレン あかい馬車もえつきた
賢信的必然で狡い天使と弱気な悪魔の融合
結果は転機にはなっても再生はない 蓋然性はゼロ
「爪の先からくずれてます」
「違いました」
名前はいらない [sage] 2018/02/25(日) 13:03:18.88:Ea41lC8P
ここじゃないどこかは存在しない
兄弟はどんどんいなくなった
ここじゃないどこかに行くと言ったまま

存在するどこかはここにある
兄弟はひとりいた
存在の存在は無限かもしれない
名前はいらない [sage] 2018/02/26(月) 03:23:49.12:mXzfjL9I
実に勝手な想像 きっとあの空き瓶だ 思い出したくもない うなる
またうなる 泣きたくもない うなりたくもない 実に勝手な解釈
はいつくばっているのか はいつくばされてるのか とにかくはいつくばっている
あのこわい崖の隙間は生き物の目 うっかり見てしまった
やっぱり地獄を求めさまよってる 共感は禁句
嘘偽りの喜怒哀楽が針の山に刺さってる 仲間じゃない
沈黙の二枚貝はゆっくり沈む
名前はいらない [sage] 2018/02/27(火) 01:55:31.96:W5D05gC/
デリートで断捨離 見送りでないてるのを見てたら意味が違ってわいてきた
本当のことを知ったら悲しむだろうな
笑顔でデリート そのための笑顔
だから早めに孤独になりたいんだけど そういう意味で
突然始まった若く長い台風は その爪と牙でいくらか腐った肉を落としてくれたようだ
醜く冷たく悪臭を放つ胚を腹に詰めて温めてくれたことを知ってるから悲しいんだろうな
またドクドク心臓が動き始めた
名前はいらない [sage] 2018/02/27(火) 02:29:44.05:tVTLo+4n
第六感でペンを動かし 四次元の絵を浮かべる
淡々とクスリ飲んで 滑稽に頭ぶつける
正論が正論に聞き取れないほど 歪みがそれでいいといってる
わたしとあのひとの悩み方は違うけど 根本は同じかもしれない
それは言葉にしなくても 誰でも気づいてる暗黙の了解
各々のカードを神経衰弱の要領でつきあわせたところで消えるわけでもなく
増えるわけでもなく むしろ言葉にして否定されたくないだけかもしれない
さらけ出す次元を超えたむこうに あのひとたちはいる
◆zABAZSBt06 [sage] 2018/02/28(水) 23:09:07.68:2U8X6wAJ
凹凸

日々の階調を確かめるように
指紋の溝分だけ夜を潰して
動かした手は滑らかに流れて
幽かな衣擦れが
軋んで
時計が止まっている間だけ
密やかに木霊する吐息と
爪の跡が
汗に滲み
染みになり
消えないのだと
思い込もうと
ただ、握りしめた隙間から
一滴が零れ
壁に映る複雑な陰影は
細やかな欠落による回折だと
鈍色がうそぶき
また一つ頁をめくり
感覚のない掌から
その歪な波紋から
紡がれていく音に
耳を傾け
読み込まれるのを
待ち続けている
名前はいらない [sage] 2018/03/02(金) 04:05:01.51:d0s+jZoU
ボアに包まれた篭絡のハラスメント
緑の点滅に首がしまる
先細りのトンネルの入口に引き戻された
飾り物の選択肢がガラクタになって泥に沈む
熱くなるばかりの暗い電球が西から東に揺れた
名前はいらない [sage] 2018/03/04(日) 03:45:04.35:5NrYHBeC
ずっと大事にしてたものがあっけなく壊れた時 大事でなくなり
他の宝物までゴミになった
今度はゴミと一緒に宝物まで捨てているのだ
宝物が実はゴミだったわけではなく
宝物と認識することに疲れたといったところか
そこにいることが当たり前だった前世の痣が今世では消えてるのに
またタトゥーにして彫り返している人らは対局で理解不能の異教徒
無関心はつらいといったが 真の無関心は解放だ
名前はいらない [sage] 2018/03/05(月) 01:06:10.28:6NlQ0mzX
歯ぎしりして誤差を噛み潰した
獲物のノドをかみ切った牙で幼子を優しく運ぶ誤差
かみ合わせの完璧な上下は別世界の唯一の接点
灼熱の大地で雪女が吹雪を起こして新種の天気をコロコロつくる
それをルーチンで噛み潰し すり減ったものを飲み込む
名前はいらない [sage] 2018/03/10(土) 00:27:05.87:ZsN8TvXX
琥珀のピアスが割れてハチが飛んだ
黄金の幸せはあきた
花との生き方は忘れた
耳から流れる血はうまい
名前はいらない [sage] 2018/03/11(日) 01:08:57.14:TsjVLipJ
パンダには色々な名前がある

チンチン
ピンピン
パンパン
アンアン
名前はいらない [sage] 2018/03/12(月) 05:40:57.07:9gcwYebB
朝日が窓ガラスを割って侵入する
眉間に浮かぶ焦点の合わない傍白
海嶺と海溝の会話がざるの目を素通りする
満ちてはひきつける暁と曙の会話
名前はいらない [sage] 2018/03/12(月) 06:01:45.41:nZBJIvLz

小学生?
よく漢字知ってるね
名前はいらない [sage] 2018/04/02(月) 03:07:15.95:8VkTjY9g
そういうことか
ああ、
だが、俺じゃないんだけどね
それだけは
まあ、
いっておくさ
名前はいらない [sage] 2018/04/19(木) 03:47:30.08:MtkRR9QF
『パラダイムの痣』


分水嶺から現れた招き猫は対数らせんに歩き回る

震える猫を抱き上げて生真面目な時代の日の出をみた

銀河の海からうまれた巻貝に耳をすましながら

幾重にも重なったレイヤーのこちらと向こうがわで違う絵をみる

巻貝から転がったヒマワリの種を握りしめ

こちらと向こう側で同じ太陽をみたいと思った
◆zABAZSBt06 [sage] 2018/04/20(金) 21:03:45.29:iigTpwXw
命日

整然と植樹された若木が
育ち切らぬ華奢な腕で
閉じた空に引き裂かんと
未だ解れぬ爪を突き立てる

その幼さに
震えた葉擦れが波紋となりて
過多の交響に森は軋んで
潰れた悲鳴は色を無くして
深い深い夜の
その底の
一羽の鳥の亡骸の
薄汚れた風切り羽根を震わせる

そんな日は
森には赤子の声しか響かない

濡れた瞳が確かに輝いて
確かに世界を焦がし得る緋色で

しかし
それもやがて灰色の一欠に砕け
一握りの灰塵と化し
柔らかな腕すら苗木にされて
蔓延り出す根が悲しくて

それでも
それでも、と

あの子は三十一歳になっていた
名前はいらない [sage] 2018/04/20(金) 23:05:41.36:IQ79MVcB
もうおばさんじゃん
名前はいらない [sage] 2018/04/21(土) 13:09:12.39:DMKvF++N
テンプレ

sage進行。
評価・感想・雑談なし。
詩を描くだけのスレ。
名前はいらない [sage] 2018/04/24(火) 14:00:54.65:ofxAB1Bh
「菩提樹」

重なる若草の透明度
わき上がる炭酸のような空気
ここまでどうやって来たのかわからない
きみまでの道
虹の花が咲き乱れる空
そこから舞ふるオーロラの雨
ここまでやっとたどり着いた
きみのとなり
◆zABAZSBt06 [sage] 2018/04/26(木) 21:33:51.47:nyYdR2My
帰路

パッとしない天気の下
優れない調子の胃を抱え
先の見通せない往来を
汗や脂の臭いに塗れ
目深に被る作業帽子が
草臥れたまま項垂れて
滴るのは
汗なのだろうか
路地の底に咲くビニール傘
骨の歪んだ安物フィルタが
此処を海底探査船内とする
酸素供給も儘ならないまま
作業帽子はしわがれる
ため息が
天に上るか地に沈むか
判らないから
未だに日の光すら拝めない
足の裏の感触さえ朧気で
溺れてるんだと
指をさす指をさされる
それもフィルタの向こう側
いや
こちらがフィルタの向こう側
ゆらゆらと
逆髪が昆布のように
ゆらゆらと
とうとう
帽子も消えて
濡れた路面には
影さえ浮かばない
名前はいらない [sage] 2018/05/06(日) 00:59:35.31:7ydPCIla
1日が溶けて
暗闇に絡み付き
その足を引き
引きずり込み
何も言わず
ただ優しく
それは未練なのだと
衰えた筋肉に
吐き捨てるのは
然したる価値もない
零れた砂の描く絵に似て
柔らかな風にさえ
形を崩され
戻れず
夜が
染み付き
モザイク画の中に
重なるごとに
迷い込み
亡くしていく
欠片に
差し込むのは
見知らぬ日のみなのだ
名前はいらない [sage] 2018/05/07(月) 02:07:54.17:NLmiYhXr
「輪廻の影」

鳥獣保護区域から1羽の大きな白い鳥飛んだ
保護区域はどんどん拡大し
害獣であるぼくらはいずれ駆除される
人工知能は正しい
正しさには逆らえない
当時 保護区域内のぼくらは白い鳥を害獣とよんだ
正しさとは別の部分で逆らうことをしなかった
人工知能は正しい
不都合な正しさはバグ
ぼくらはいずれ駆除しあう
◆zABAZSBt06 [sage] 2018/05/26(土) 01:17:29.25:100D6Lcx
衝動

膿んだような空の雲から
雨垂れる一滴が
いつまでも
いつまでも背筋を震わせ
まだ一里塚
その呟きは悲鳴に似て
指先の振戦は
無意識なSOSの送り先に彷徨っている

まだ来ないのだと
安心するのは
私は、私を
殺したくないのだと

テレビをリモコンで切り替えるように
カレンダーを捲るように
日々逆立ちを強要されて
それでも
この蜘蛛の糸を手繰るのだろう
静かに荼毘に付した
私だった煙の示す先を目指して

薬を塗ってください
私にではなく、貴方に
手遅れになる前に
まだ雲は厚く
怖気は静まらず
殺したくないのだと

殺したくはないのだと
◆zABAZSBt06 [sage] 2018/08/12(日) 22:45:34.63:utPKZ5Zy
視点

今日の終わりに吐いた息を
吸い込むのは植物には荷が重く
蟠った積乱雲が明滅して
焦げたオゾンが目を焼いて
そして降り出した
人の波は轟々と谷を滑り落ちていく
かくれんぼは終わりなんだって
態々耳打ちしてくるお節介に
夜の匂いをお見舞いしてやるのだ
そこに吹く風に身を任せて
グライダーの行く先は夜で
2000km/hの零れ行く私たちは
彗星の尾のように空を舞い
楽しいのだと
崩れゆく肉と骨を笑い合い
シャレコウベの白さに似た陽光に
眼を瞬かせて
眩んだ空に
昨日の亡霊がたなびいて
サヨナラの言葉は
もはや蛇足なのだと
速すぎる歩みに
慣性に留まることすら躊躇して
更新は止まず
山は鳴動して
くしゃみに全てがご破算と終わり
それに気が付く前に
塔はさらなる塔を築いて
頂点から見る景色は
夜のようだと
植物すら溜息を零した
◆zABAZSBt06 [sage] 2018/08/16(木) 21:28:46.20:id/ZlVE4
仮想幻想

水面の月は日々鮮やかさを増し
凍える毛先の霜の反射は何処からか
ただ震えていることだけが拠り所で
つま先がふわりと淵を踏み外し
まだ眼球はそこにありますか?
路地のゴミ集積所の酔いどれが
未来式の眼鏡の前に手を伸ばす
ようやくシャッターを下ろせた
幾重にも絡められたミミズの脈動に
温もりを感じることに何を躊躇うのか
でも皆分かっているのだ
缶ジュースの中では窒息しかないのだ
その太陽は目指すものではないのに
不自然の白色のフードプロセッサは
プロパガンダが酷く上手い
それでも水面に目を向けて
水面のさざ波に目を向けて
さざ波の高低に目を向けて
高低の周期に目を向けて
奥底のホログラムに爪を立てようと
伸びかける手を押しとどめて
押しとどめたような感覚を注入されて
手足なんてないのに
まだ眼球はありますか?
気が付くとゴミ集積所の前に立ち
酔いどれは相変わらずHMDに夢中で
でも水面はまだ揺らめいて
この毛皮の霜の反射光は何処からかと
伸びた手が
軽いだなんて誰が信じるのだろうか
名前はいらない [] 2018/10/17(水) 21:32:24.04:oSd+ZfLP
友達から教えてもらった嘘みたいに金の生る木を作れる方法
参考までに書いておきます
いいことありますよーに『金持ちになる方法 羽山のサユレイザ』とはなんですかね

M1B
名前はいらない [sage] 2019/01/10(木) 06:01:34.16:3rUkzlM6
24時を刺す針だ
閉じ込めた骸骨と向き合う目に映るもの
積み重ねた弱さがいつか命取りになる
優しい国の残酷な野生
ぶつからないように歩けたのは奇蹟
ふるえないあの歌声の意味が
目に響けば針を動かせると信じたい
名前はいらない [sage] 2019/01/14(月) 05:51:16.41:aS87tSgO
それ、素質だから
必死すぎて問題に燃料投下
これ、素質だから
全血交換しても無駄
どんどん湧いてくるものだから
生きてる間中
サトラレまくり
何も被れてない
メビウスにとっつかまって
自分でとっつかまって
墓穴から頭出して
モグラ叩きゲームのモグラ
勢いよく飛び出して
目をお日様で焼いても
これ、素質だから
お日様はあたたかい
名前はいらない [sage] 2019/01/24(木) 06:14:59.75:J4RTFdfb
地を這う根が宇宙にからみつく
備わっていたひとつひとつの感覚が今までになく指をのばす
指先に当たり、かすめ、冷たく熱い、香りと感触に
未知の懐かしさを探して
そうこうしているうちに、わたしは「しねば」といわれ
「いきろ」ともいわれ、誰かにもいって
誰にもいわないで、
誰にもいわれないで
既知の不幸と相反する幸福のらせんが
底なしの地に根付いている

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