千の世界
- : 名前はいらない [sage] 2010/11/19(金) 23:54:36:Uw9fmxFP
- sage進行。
評価・感想・雑談なし。
詩を描くだけのスレ。 - : 名前はいらない [sage] 2017/12/04(月) 02:29:19.66:cz5UMPQY
- 深層無意識は幽霊の海
無は有の対局で並列で同位で いつも取って代わろうとする
退化していく猛獣はヒエラルキーの角で潰れた
そうであってくれと願いながら沈殿物は泳いで漂って海面に顔を出す
性善説の母と性悪説の父からうまれたことをパクパク飲み込みながら
そろそろまた溺れるしかないんだろうと 他人のような無意識が語りかけてくる - : ◆zABAZSBt06 [sage] 2017/12/06(水) 21:10:41.06:qGh+ixyF
- 順番
泥濘を踏みつけるような日々だと
下し気味の腹を抱える青ざめた顔に
プラットホームから見えるレールは赤熱し
チリチリとこびりついた血痕を煙らして
熱いんだか、寒いんだか
顔色を窺おうにも瞳は火傷気味で
今時分が如何程なのか
腕の時計は自動巻きにも関わらずに止まり
一体どれくらいここで待っているのか
震える足で立つ場所は皮膚の上みたいで
病的な皮から生える産毛になったようで
汚染された栄養が足から這い上がって
胸の奥に粘ついた衝動を沈殿させて
一歩、踏み出さなければ
張った根の先が腐れ堕ちるよりも前に
そう思っているはずなのに
耳元で
底が有るだけマシじゃないかと
後ろ手で縛られた骸骨が眼窩から泥を滴らせ
引き抜けなくて
そのうち悲鳴が他人事のように通過して
レールが白く白く磨かれ輝いて
ゼンマイに油が差され
開いた扉が
面倒くさそうにホームから私を間引き
右から左へと流れ去る病的な皮膚が
染み付いた血液が
ただの風景でしかなくなって
シクシクと痛む腹を抱えながら
ただ足が有ることだけを確かめるかのように
じっと下を見ていた - : ◆zABAZSBt06 [sage] 2017/12/08(金) 20:01:52.91:eb6CSoJx
- 凍土
忘れられた道に降る雪は融けず
薄氷の上に更なる静けさを積層する
やがてそれは凍土と呼ばれ
一面の亡羊たる粉雪達の震えの下に
かつての罪人たちの足跡を隠しつつ
プレパラートのごとく標本として留めた
色のない絵の具を筆に載せて
吐き出された最後の声に色を付けて
それもまた一つの氷となり
軋みに似た音を立ててパズルの一片へとなり下がる
薄明時に燻らせるのは紫煙だけではなく
蛍の置き土産に焼かれた山肌が吐く朝霧もだ
氷河は一切を押し流していく
それは時間軸上の地滑りみたいな永遠で
何も変わらないまま私の手は皴枯れていく
また日が昇り、月が昇り、影が追い越していく
執拗に繰り返される摩擦にすら舗装道路はびくともせず
コンクリートは忘れてくれるというのに
降り始めた雪は一歩すら許すことなく記述して
街灯に照らされた地表の濡れた凹凸に
夜が帳を下すみたいに魔法をかける
重ねられた日々の可視化に耐える術を見失い
その内この身すら白い起伏の一つになる
悴んだ指先に溶ける一滴に
いつか誰かが、もしかしたら私が零した涙を見て
こんな日は誰もが泣いているんだと
足の裏側に凍てついた地面の下から
数億と層を成す寂しさが
縫い止められたまま私ごと滑り落ちていく - : ◆zABAZSBt06 [sage] 2017/12/08(金) 23:33:15.61:eb6CSoJx
- 『無花果』
広げた掌の下に膨らむ宇宙に
無数の魂が内に籠り夢を紡ぐ
やがて肥え熟す個々の花は孕み
その差し出した腹を死神の鎌が裂く
声は聞こえない
蓄財と不老とに狂う群衆が
無音の中から薫る甘露に手を伸ばす
柔らかい膜は震えるように張り詰め
気にされることもなく毟られ
千年王国は遠く
一万数千年に渡り鎖に繋がれたまま
億の宇宙が
兆の夢が
獣たちの白い歯を赤く染め
枝から滴り落ちる白濁が
人間の皮膚を犯すのは
ただ、生れ落ちることを知らぬ者たちの
吐き出すことの出来なかった精液の迸りが
臓腑で溶けた魂と受精するからに他ならない
花の無い果実は
目覚めることのない赤子のように
地に落ちることも忘れて
胎動する無数の夢に
日が映えることを
掌の下で
ただ、じっと待つ - : ◆zABAZSBt06 [sage] 2017/12/10(日) 00:21:04.13:c6SPm2yZ
- DTM
選べた物は何もなく
それでもこの道を踏みしめるのが
脅迫神経症的であろうと
確かに、言い訳も出来ないほどに
自身の絞り出した声なのだと
骰子を転がした掌を握る
夜の凍土を切るような星明りの下で
取り合ったのは肉質な接触ではなく
そこに居るのだという互いの承認で
吹き荒ぶ雹粒に瞬かせる瞳の中に
それでも、ここに居るのだと
凍り付いた掌をただひたすらに握る
顔料のはげ落ちた絵画の中で
それでも幽かに吐息が今も息づいて
掲げた群衆の拳を奮い立たせる熱が
ことさら綴じた本の中で数行の印字となり
乾いた紙片を撫でる掌に残り香を移す
進むたびに変換されるタイプライターに
分割された行動と思考と情動との境を
埋める術など言葉には一つとして備わらず
それはそれとして、アナログの鼓動を
五線譜に落とし込み今に伝えておくれ
それとなく進んでいくこの足によるパンチングは
いつか何かに読み込まれたとき何を喋るのか
偶発的に吹き上がる間欠泉の硫黄臭に
太古に存在した私に続くリズムを確かに聴いて
乱雑な不協和音と交響する - : 名前はいらない [sage] 2017/12/13(水) 22:44:15.33:v1ppTPKq
- 記憶の最初の友はレモン色のインコ
しばらく犬はこわかたし 猫はわからなかった
何も知らなかった
今はそう
ネコは尊敬し いぬは恩人 インコはひとりで見る月
指先に肉球を逢わせれば あのSF映画の意味が沁み込む
熱くないように 寒くないように 痛くないように 苦しくないように
寂しくないように 飢えないように
陽だまりで 木陰で うつらうつら
わくわく 柔らかい草の広い広い原っぱを
思いっきり走り回っている - : 名前はいらない [sage] 2017/12/17(日) 07:15:20.01:88bytqzh
- 生前墓参り
時落ちる度 血を分けられたはずの親と呼んだ人が遠くなる
今までありがとうございましたと つぶやきながら 後ずさりしているうち
いつの間にか砂の一粒のようになり 忘れてほしい
わたしはあなた方の望むように 幸せにしてあげられませんでした
お互いの間の接着剤の塊がころっと落ちれば なかったことになる関係
それまでの間の関係
代替えの幸せもどきを金に変え レジ袋につめ 埋めていく
あなた方にとって砂の一粒になるまでの埋め合わせ - : 詩帝・二階堂 ◆3H/4wGejElAB [age] 2017/12/20(水) 09:55:23.83:vMiEHFJ9
- 「童貞または自我分裂症的な躁鬱」
俺の垂れ流した赤目のドクロは
ドロドロと地の汁を吸い上げ
やがて一人の裸の女となる。
それを聞いた
女の恥部に宿る蒸れた熱を
それを捧げた
肉にいだかれた盲目なる刻印を
豪雨の如く浴びた情熱は
地獄の薔薇のように暴れたかと思うと
白鳩の羽となり一斉に飛び散った - : ◆zABAZSBt06 [sage] 2017/12/21(木) 21:41:05.12:EceK3zP2
- 撫でる手
逃れようもなく目の端を埋めるのは
地平に蓋をするかのような山脈
切り取られた空に差す日は短く
天頂に舞う鳥はあんなに高いのに
地べたはいつでも腐れ果てて
漂白された花弁が項垂れている
時折聞こえる地崩れの音が
壁から逃げられずにいつまでも
いつまでも頭の奥を揺らす低周波のようで
耳孔に接続されたイヤフォンを掻き毟る
あの頂は恐らく岩石などではなく
空が捨てた外殻で
夜の建てた墓標で
人よりはるかに早く刻まれた時間で
瞳が途絶えるまで停泊する箱舟で
その原点から聞こえるノイズに
外側から覗かれている視線を幻覚してしまう
目も鼻も口も、もう入りきらないのに
鳥はいつの間にやら消えて
花はもう泥濘に溶けて
空は振り返りもせず通り過ぎ
夜は残り香のように染み出した
忘れた頃に届く手紙のように
彼方からの冷たい指先が
仕舞損ねた裾野から熱を奪っていく - : ◆zABAZSBt06 [sage] 2017/12/28(木) 23:20:16.07:0/rEU9Wm
- 漂泊
擦過の度に薄くなる月の
深い享楽に析出する犬歯の鋭さが
夜更かしが癖になる病人の胸を突く
煌いているのは埃のはずだが
肺の奥が少しずつ凍るのは何故なのか
吐息は綺麗なままで
それはつまり汚れたままで
喘いで仰け反る際に見せる首筋が
余りに細く、細く
それは水面に映った鋭角で
地表を貫いて
咳をして
震える肌に逆立つ産毛は
淵を撫でる手の冷たさにではなく
狂気に削り取られた生命の残滓による
刹那の間に投影される燈火の熱のせいだ
酔いの醒めやらない地表に
立ちすくむ木々から伸びる枝は絡まり
内に籠る胎児は夜を忘れ
汚すことも知らず
色白の肌を青紫に染めながら
それでも仰ぎ見るのは
遺伝子が夢見る疼きに似た痛みなのだ
朽ちていく白銀から注ぐ鱗粉に
広げられた掌は無力でしかなく
刺さるほどに削ぎ落されて
一巡するたびに入り口は遠のいて
細く
鋭く
ただ、白く
白く - : 名前はいらない [] 2018/02/12(月) 16:15:59.93:zYRw8/V7
- すごくおもしろい副業情報ドットコム
暇な人は見てみるといいかもしれません
グーグル検索⇒『金持ちになりたい 鎌野介メソッド』
D66VV - : 名前はいらない [sage] 2018/02/17(土) 18:51:03.71:HpiWNM+Y
- ゆっくり呼吸して 痛みから解放された
五線譜から湧き上がる 人魚姫の泡
きっと今夜は星が増える
そして彼女の唄は誰かが唄う
昨日の昨日の奥底に沈むその泡を 追い続ける子供たち
夢から覚めて泣いた真珠の子供たち - : 名前はいらない [sage] 2018/02/17(土) 19:28:42.90:HpiWNM+Y
- からからに乾いた喉から幸せがもれた
「その勇気があれば何でもできるでしょう」って本当でしょうか
そもそも勇気は必要なかったのだから
うるんだ喉からまた幸せがもれた
まだ愛するあのこの名前をつぶやいただけなのに - : 名前はいらない [sage] 2018/02/17(土) 19:43:31.74:HpiWNM+Y
- 影絵の中で踊る影を見た
真夜中の海を綺麗だと言った
全部嘘だと思った
アンテナが無い事を意識して やっと人形になれると思った
操り人形のひもを噛み切った人形の決意 - : 名前はいらない [sage] 2018/02/17(土) 19:56:00.96:HpiWNM+Y
- 大丈夫といいながら無理な仕事をしてるから
大丈夫かと優しくたずねるサイコパス
いつからわたしたちの脳は壊れていたのだろう
泥のごはんを食べさせて
おいしいでしょうとスプーンで食べさせる
はじめから脳は壊れているんでしょう
ストロベリーの香りのする血は洗っても消えない - : 名前はいらない [] 2018/02/19(月) 00:45:51.28:NUKvMqQh
- 檻のむこうの4つの眼 扉を閉めてもそこにある
開けられるのは自分だけ きまりなどはそこにない
動機の中に理由もない ただそこを開けるだけ
語ってくれたら語りたい 語り部の背後の木々が熱さに揺れる - : 名前はいらない [sage] 2018/02/19(月) 01:12:29.83:NUKvMqQh
- 頭下げて瞼綴じる あとは空は白くなるだけ
小さいダイヤに約束を隠して はじまりのイチョウの葉に帰った
そこは君にとってのポプラだといえば理解してくれるだろう
失った友達の木を探しにいく らせんの季節に薄紫の花が咲く - : 名前はいらない [sage] 2018/02/20(火) 10:07:25.07:mNXdNsam
- こすもすくじらの航路 玄関のポーチで浮遊
恐怖に支配されても飛び降りる がっかりさせたくないから
あの時と同じシチュエーション
はるかかなたのツリーに飾りはてっぺんの星ひとつもいらない
夜を知らない夜の中 こすもすくじらのうた響く - : 名前はいらない [sage] 2018/02/21(水) 23:58:40.31:ovy+WEJA
- バスの外には寂寥
人のことがわからないなら自分のことも行方不明
バスの中は海中
ひび割れた地面を歩く魚 - : 名前はいらない [sage] 2018/02/22(木) 02:14:46.48:kkzhdwWv
- 全人的社会の周囲は抗体に縁どられ 飛び火し渦を巻く
この際だからアレルギー反応で絵や歌の症状にすがる
ここだけの話がどこまでなのか 口から漏れないように耳を塞ぐ
耳をすましながら 秘密をききたい
全人的個人は蕁麻疹に驚いて 思わずしゃべってしまう
秘密の抗原は耳から侵入する - : ◆zABAZSBt06 [sage] 2018/02/24(土) 01:12:21.91:ZNE/fmo9
- 喪失
夢の中は透明で
深く深く覗き込んだ彼方に
暗赤色の夜が瞬いて
その雲母を透かしたかのような
生温さに指先を浸し
まだ来ない今日を
むず痒さに似た喪失感の中で
拙い運針で掬い上げながら
形のない
薄絹の心許無さに
笑みを浮かべ
さざめく声を聞いた気がして
指を止め
その指は解け
確かに縫い止められ
私は喪ったのだと
やはり笑みを浮かべ
あげた瞳に見えるのは
相も変わらずの純真で
雲母は遥かに揺蕩って
こそばゆく
名残惜しさを
感じているのか
感じられているのか
泡沫に映る湾曲した空が
一つの鼓動で震え
今度こそ
それは声で
呼ばれていない私は
繋いだ端切れを
宙に浸して
ささやかに
目礼で
去っていく私を祝うのだろう - : 名前はいらない [sage] 2018/02/25(日) 12:41:34.97:Ea41lC8P
- 灯台のライト あおい鳥貫いた
献身的飛行にあたたかい終止符
ぼくから外れたパーツの空洞に異物になったぼくが埋まる
「あなたは何パーセントオリジナルですか?」
「きみは支配者ですか?」
夜中のサイレン あかい馬車もえつきた
賢信的必然で狡い天使と弱気な悪魔の融合
結果は転機にはなっても再生はない 蓋然性はゼロ
「爪の先からくずれてます」
「違いました」 - : 名前はいらない [sage] 2018/02/25(日) 13:03:18.88:Ea41lC8P
- ここじゃないどこかは存在しない
兄弟はどんどんいなくなった
ここじゃないどこかに行くと言ったまま
存在するどこかはここにある
兄弟はひとりいた
存在の存在は無限かもしれない - : 名前はいらない [sage] 2018/02/26(月) 03:23:49.12:mXzfjL9I
- 実に勝手な想像 きっとあの空き瓶だ 思い出したくもない うなる
またうなる 泣きたくもない うなりたくもない 実に勝手な解釈
はいつくばっているのか はいつくばされてるのか とにかくはいつくばっている
あのこわい崖の隙間は生き物の目 うっかり見てしまった
やっぱり地獄を求めさまよってる 共感は禁句
嘘偽りの喜怒哀楽が針の山に刺さってる 仲間じゃない
沈黙の二枚貝はゆっくり沈む - : 名前はいらない [sage] 2018/02/27(火) 01:55:31.96:W5D05gC/
- デリートで断捨離 見送りでないてるのを見てたら意味が違ってわいてきた
本当のことを知ったら悲しむだろうな
笑顔でデリート そのための笑顔
だから早めに孤独になりたいんだけど そういう意味で
突然始まった若く長い台風は その爪と牙でいくらか腐った肉を落としてくれたようだ
醜く冷たく悪臭を放つ胚を腹に詰めて温めてくれたことを知ってるから悲しいんだろうな
またドクドク心臓が動き始めた - : 名前はいらない [sage] 2018/02/27(火) 02:29:44.05:tVTLo+4n
- 第六感でペンを動かし 四次元の絵を浮かべる
淡々とクスリ飲んで 滑稽に頭ぶつける
正論が正論に聞き取れないほど 歪みがそれでいいといってる
わたしとあのひとの悩み方は違うけど 根本は同じかもしれない
それは言葉にしなくても 誰でも気づいてる暗黙の了解
各々のカードを神経衰弱の要領でつきあわせたところで消えるわけでもなく
増えるわけでもなく むしろ言葉にして否定されたくないだけかもしれない
さらけ出す次元を超えたむこうに あのひとたちはいる - : ◆zABAZSBt06 [sage] 2018/02/28(水) 23:09:07.68:2U8X6wAJ
- 凹凸
日々の階調を確かめるように
指紋の溝分だけ夜を潰して
動かした手は滑らかに流れて
幽かな衣擦れが
軋んで
時計が止まっている間だけ
密やかに木霊する吐息と
爪の跡が
汗に滲み
染みになり
消えないのだと
思い込もうと
ただ、握りしめた隙間から
一滴が零れ
壁に映る複雑な陰影は
細やかな欠落による回折だと
鈍色がうそぶき
また一つ頁をめくり
感覚のない掌から
その歪な波紋から
紡がれていく音に
耳を傾け
読み込まれるのを
待ち続けている - : 名前はいらない [sage] 2018/03/02(金) 04:05:01.51:d0s+jZoU
- ボアに包まれた篭絡のハラスメント
緑の点滅に首がしまる
先細りのトンネルの入口に引き戻された
飾り物の選択肢がガラクタになって泥に沈む
熱くなるばかりの暗い電球が西から東に揺れた - : 名前はいらない [sage] 2018/03/04(日) 03:45:04.35:5NrYHBeC
- ずっと大事にしてたものがあっけなく壊れた時 大事でなくなり
他の宝物までゴミになった
今度はゴミと一緒に宝物まで捨てているのだ
宝物が実はゴミだったわけではなく
宝物と認識することに疲れたといったところか
そこにいることが当たり前だった前世の痣が今世では消えてるのに
またタトゥーにして彫り返している人らは対局で理解不能の異教徒
無関心はつらいといったが 真の無関心は解放だ - : 名前はいらない [sage] 2018/03/05(月) 01:06:10.28:6NlQ0mzX
- 歯ぎしりして誤差を噛み潰した
獲物のノドをかみ切った牙で幼子を優しく運ぶ誤差
かみ合わせの完璧な上下は別世界の唯一の接点
灼熱の大地で雪女が吹雪を起こして新種の天気をコロコロつくる
それをルーチンで噛み潰し すり減ったものを飲み込む - : 名前はいらない [sage] 2018/03/10(土) 00:27:05.87:ZsN8TvXX
- 琥珀のピアスが割れてハチが飛んだ
黄金の幸せはあきた
花との生き方は忘れた
耳から流れる血はうまい - : 名前はいらない [sage] 2018/03/11(日) 01:08:57.14:TsjVLipJ
- パンダには色々な名前がある
チンチン
ピンピン
パンパン
アンアン - : 名前はいらない [sage] 2018/03/12(月) 05:40:57.07:9gcwYebB
- 朝日が窓ガラスを割って侵入する
眉間に浮かぶ焦点の合わない傍白
海嶺と海溝の会話がざるの目を素通りする
満ちてはひきつける暁と曙の会話 - : 名前はいらない [sage] 2018/03/12(月) 06:01:45.41:nZBJIvLz
-
小学生?
よく漢字知ってるね - : 名前はいらない [sage] 2018/04/02(月) 03:07:15.95:8VkTjY9g
- そういうことか
ああ、
だが、俺じゃないんだけどね
それだけは
まあ、
いっておくさ - : 名前はいらない [sage] 2018/04/19(木) 03:47:30.08:MtkRR9QF
- 『パラダイムの痣』
分水嶺から現れた招き猫は対数らせんに歩き回る
震える猫を抱き上げて生真面目な時代の日の出をみた
銀河の海からうまれた巻貝に耳をすましながら
幾重にも重なったレイヤーのこちらと向こうがわで違う絵をみる
巻貝から転がったヒマワリの種を握りしめ
こちらと向こう側で同じ太陽をみたいと思った - : ◆zABAZSBt06 [sage] 2018/04/20(金) 21:03:45.29:iigTpwXw
- 命日
整然と植樹された若木が
育ち切らぬ華奢な腕で
閉じた空に引き裂かんと
未だ解れぬ爪を突き立てる
その幼さに
震えた葉擦れが波紋となりて
過多の交響に森は軋んで
潰れた悲鳴は色を無くして
深い深い夜の
その底の
一羽の鳥の亡骸の
薄汚れた風切り羽根を震わせる
そんな日は
森には赤子の声しか響かない
濡れた瞳が確かに輝いて
確かに世界を焦がし得る緋色で
しかし
それもやがて灰色の一欠に砕け
一握りの灰塵と化し
柔らかな腕すら苗木にされて
蔓延り出す根が悲しくて
それでも
それでも、と
あの子は三十一歳になっていた - : 名前はいらない [sage] 2018/04/20(金) 23:05:41.36:IQ79MVcB
- もうおばさんじゃん
- : 名前はいらない [sage] 2018/04/21(土) 13:09:12.39:DMKvF++N
- テンプレ
sage進行。
評価・感想・雑談なし。
詩を描くだけのスレ。 - : 名前はいらない [sage] 2018/04/24(火) 14:00:54.65:ofxAB1Bh
- 「菩提樹」
重なる若草の透明度
わき上がる炭酸のような空気
ここまでどうやって来たのかわからない
きみまでの道
虹の花が咲き乱れる空
そこから舞ふるオーロラの雨
ここまでやっとたどり着いた
きみのとなり - : ◆zABAZSBt06 [sage] 2018/04/26(木) 21:33:51.47:nyYdR2My
- 帰路
パッとしない天気の下
優れない調子の胃を抱え
先の見通せない往来を
汗や脂の臭いに塗れ
目深に被る作業帽子が
草臥れたまま項垂れて
滴るのは
汗なのだろうか
路地の底に咲くビニール傘
骨の歪んだ安物フィルタが
此処を海底探査船内とする
酸素供給も儘ならないまま
作業帽子はしわがれる
ため息が
天に上るか地に沈むか
判らないから
未だに日の光すら拝めない
足の裏の感触さえ朧気で
溺れてるんだと
指をさす指をさされる
それもフィルタの向こう側
いや
こちらがフィルタの向こう側
ゆらゆらと
逆髪が昆布のように
ゆらゆらと
とうとう
帽子も消えて
濡れた路面には
影さえ浮かばない - : 名前はいらない [sage] 2018/05/06(日) 00:59:35.31:7ydPCIla
- 1日が溶けて
暗闇に絡み付き
その足を引き
引きずり込み
何も言わず
ただ優しく
それは未練なのだと
衰えた筋肉に
吐き捨てるのは
然したる価値もない
零れた砂の描く絵に似て
柔らかな風にさえ
形を崩され
戻れず
夜が
染み付き
モザイク画の中に
重なるごとに
迷い込み
亡くしていく
欠片に
差し込むのは
見知らぬ日のみなのだ - : 名前はいらない [sage] 2018/05/07(月) 02:07:54.17:NLmiYhXr
- 「輪廻の影」
鳥獣保護区域から1羽の大きな白い鳥飛んだ
保護区域はどんどん拡大し
害獣であるぼくらはいずれ駆除される
人工知能は正しい
正しさには逆らえない
当時 保護区域内のぼくらは白い鳥を害獣とよんだ
正しさとは別の部分で逆らうことをしなかった
人工知能は正しい
不都合な正しさはバグ
ぼくらはいずれ駆除しあう - : ◆zABAZSBt06 [sage] 2018/05/26(土) 01:17:29.25:100D6Lcx
- 衝動
膿んだような空の雲から
雨垂れる一滴が
いつまでも
いつまでも背筋を震わせ
まだ一里塚
その呟きは悲鳴に似て
指先の振戦は
無意識なSOSの送り先に彷徨っている
まだ来ないのだと
安心するのは
私は、私を
殺したくないのだと
テレビをリモコンで切り替えるように
カレンダーを捲るように
日々逆立ちを強要されて
それでも
この蜘蛛の糸を手繰るのだろう
静かに荼毘に付した
私だった煙の示す先を目指して
薬を塗ってください
私にではなく、貴方に
手遅れになる前に
まだ雲は厚く
怖気は静まらず
殺したくないのだと
殺したくはないのだと - : ◆zABAZSBt06 [sage] 2018/08/12(日) 22:45:34.63:utPKZ5Zy
- 視点
今日の終わりに吐いた息を
吸い込むのは植物には荷が重く
蟠った積乱雲が明滅して
焦げたオゾンが目を焼いて
そして降り出した
人の波は轟々と谷を滑り落ちていく
かくれんぼは終わりなんだって
態々耳打ちしてくるお節介に
夜の匂いをお見舞いしてやるのだ
そこに吹く風に身を任せて
グライダーの行く先は夜で
2000km/hの零れ行く私たちは
彗星の尾のように空を舞い
楽しいのだと
崩れゆく肉と骨を笑い合い
シャレコウベの白さに似た陽光に
眼を瞬かせて
眩んだ空に
昨日の亡霊がたなびいて
サヨナラの言葉は
もはや蛇足なのだと
速すぎる歩みに
慣性に留まることすら躊躇して
更新は止まず
山は鳴動して
くしゃみに全てがご破算と終わり
それに気が付く前に
塔はさらなる塔を築いて
頂点から見る景色は
夜のようだと
植物すら溜息を零した - : ◆zABAZSBt06 [sage] 2018/08/16(木) 21:28:46.20:id/ZlVE4
- 仮想幻想
水面の月は日々鮮やかさを増し
凍える毛先の霜の反射は何処からか
ただ震えていることだけが拠り所で
つま先がふわりと淵を踏み外し
まだ眼球はそこにありますか?
路地のゴミ集積所の酔いどれが
未来式の眼鏡の前に手を伸ばす
ようやくシャッターを下ろせた
幾重にも絡められたミミズの脈動に
温もりを感じることに何を躊躇うのか
でも皆分かっているのだ
缶ジュースの中では窒息しかないのだ
その太陽は目指すものではないのに
不自然の白色のフードプロセッサは
プロパガンダが酷く上手い
それでも水面に目を向けて
水面のさざ波に目を向けて
さざ波の高低に目を向けて
高低の周期に目を向けて
奥底のホログラムに爪を立てようと
伸びかける手を押しとどめて
押しとどめたような感覚を注入されて
手足なんてないのに
まだ眼球はありますか?
気が付くとゴミ集積所の前に立ち
酔いどれは相変わらずHMDに夢中で
でも水面はまだ揺らめいて
この毛皮の霜の反射光は何処からかと
伸びた手が
軽いだなんて誰が信じるのだろうか - : 名前はいらない [] 2018/10/17(水) 21:32:24.04:oSd+ZfLP
- 友達から教えてもらった嘘みたいに金の生る木を作れる方法
参考までに書いておきます
いいことありますよーに『金持ちになる方法 羽山のサユレイザ』とはなんですかね
M1B - : 名前はいらない [sage] 2019/01/10(木) 06:01:34.16:3rUkzlM6
- 24時を刺す針だ
閉じ込めた骸骨と向き合う目に映るもの
積み重ねた弱さがいつか命取りになる
優しい国の残酷な野生
ぶつからないように歩けたのは奇蹟
ふるえないあの歌声の意味が
目に響けば針を動かせると信じたい - : 名前はいらない [sage] 2019/01/14(月) 05:51:16.41:aS87tSgO
- それ、素質だから
必死すぎて問題に燃料投下
これ、素質だから
全血交換しても無駄
どんどん湧いてくるものだから
生きてる間中
サトラレまくり
何も被れてない
メビウスにとっつかまって
自分でとっつかまって
墓穴から頭出して
モグラ叩きゲームのモグラ
勢いよく飛び出して
目をお日様で焼いても
これ、素質だから
お日様はあたたかい - : 名前はいらない [sage] 2019/01/24(木) 06:14:59.75:J4RTFdfb
- 地を這う根が宇宙にからみつく
備わっていたひとつひとつの感覚が今までになく指をのばす
指先に当たり、かすめ、冷たく熱い、香りと感触に
未知の懐かしさを探して
そうこうしているうちに、わたしは「しねば」といわれ
「いきろ」ともいわれ、誰かにもいって
誰にもいわないで、
誰にもいわれないで
既知の不幸と相反する幸福のらせんが
底なしの地に根付いている
凡例:
レス番
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名前
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