近松門左衛門作「冥途の飛脚」を原案として内田吐夢監督が独特の様式美を魅せる。錦之助が嫋やかな男を演じ、有馬稲子が可憐な女郎に身をやつす。見ているものをハラハラさせる危い恋の道行きが描かれる。
狂言回しとして近松を片岡千恵蔵が貫禄たっぷりに演じて二人の儚く激しい恋を傍観者の視線で冷徹に見つめる。錦之助の持つ色気が溢れ、男の愚かさと愚直なまでの恋への傾斜が哀れを誘う。
有馬稲子も頑張っているが錦之助の滴るような絶望と狂気が凄まじく、添え物の感がぬぐえない。内田監督は浄瑠璃と歌舞伎の様式を随所にちりばめ独特の画面を構成する。メリハリの利いた色合いの中、二人の男女の落ち行く世界は黒と白が支配する静寂の画像で迫る。獄門首覚悟の男と捕まれば二度の奉公が課される女の道行き。
恋も命懸けの時代だからこそ、女郎と商人の間に純愛が芽生えたに違いない。 然し中村錦之助の演技は古い歌舞伎の風情から抜け出すことが出来ず類型的な所作が多く、今見ると大業なセリフと身のこなしに違和感はぬぐえないが、それでも彼の身をよじるような切なさを表す芝居は観る者を引き込まずにはいない。誰が何と言おうと錦之助の「よよ・・」と泣き崩れる優男振りは見事な芸である。
田中絹代が亀屋の隠居を演じて堂々たる貫禄を見せている。随所に登場する小柄な田中が画面に現れると実に存在感が溢れ大女優の貫禄とはかくもすさまじきものかと感服する。
映画が映画であった古き良き時代の名作である。
同監督の実験作「恋や恋なすな恋」とは雲泥の差である。
映画が映画らしかった時代の名作、一見の価値あり
有馬稲子も力演だがここは嵯峨三智子が演じていれば更に男女の悲哀が増したかも・・残念
『一心太助 天下の一大事』は、見るたびに、やっぱり錦之助はいいなあと思う映画である。錦之助の気風のいい江戸っ子ぶりには、もう惚れ惚れとしてしまう。錦之助のセリフは、落語に出て来る登場人物の歯切れのいい江戸弁そのままである。さすが、江戸っ子役者（錦之助は東京麻布三河台育ち）だ。こんな役、他の俳優には絶対にできやしない。戦後から現在に至るまで「チャキチャキの江戸っ子」をこれほど見事に演じた俳優は他に見当たらないと思うのだが、どうであろうか。他にいたら教えてもらいたい。さらに言えば、たとえ錦之助といえども、この頃の溌剌とした彼でなければ、とうてい不可能な役で、この映画の太助の名場面は歴史的な価値さえあると信じて疑わない。
たとえば、この映画の冒頭、魚河岸のシーンでは、太助がこんな啖呵を切る。ボーとしてぶつかってきた男（田中春男）に対し、まくし立てるような威勢のいいセリフで、観る者を一気に引き込む。
「気をつけやがれ、このデコすけ。魚河岸は生きてる人間が跳ねけえってるとこだ。まごまごしていやがると、踏み殺すぞ！ちくしょー！」
木場で人足たちと大喧嘩をするシーンは、こんな前口上で始まる。
「おい、このオレを知らないで、それでもテメエたち、江戸っ子か！神田駿河台大久保彦左衛門の一の子分、親分同様曲がったことはでえ嫌い、一心太助とはこのオレのこったい！」
もろ肌脱いで、悪党の旗本一味を待ち構えていた太助が暴れまわる前に切る啖呵もスカッとする。左の二の腕には「一心如鏡」の入れ墨。立て板に水で、一くさり啖呵を切った後で、最後はこう締めくくる。
「こんな非道、この入れ墨が承知しねえぞ！」
彦左に食ってかかるときの言葉は、いかにも口の悪い江戸っ子らしい。「耄碌してる」とか「腑抜けも腑抜け、大腑抜けの腰抜けだーい！」とかいった痛罵を浴びせかける。
この映画を見ていると、「べらんめえ調の太助語録」が出来そうなほどである。
さて、この映画、監督は沢島忠、錦之助とは生涯続いた名コンビである。沢島忠は、東映時代劇に新風を吹き込んだ名監督。彼の映画は時代劇のヌーべル・バーグとも呼ばれた。昔のアメリカ映画さながらのドタバタ喜劇を取り入れ、さらには現代的なセリフをあえて時代劇の主人公に喋らせたり、ミュージカルの時代劇版を作るなど、アイデアに満ちた意欲的な演出を試みた監督で、この映画でもそうしたアイデアは随所に生かされている。
共演は、大久保彦左衛門がもちろん月形龍之介。頑固一徹だがカクシャクとした天下のご意見番役は、まさに月形のはまり役である。（ほかに水戸黄門と吉良上野介役がある） 太助の間抜けな相棒役には田中春男。この幸吉という男、恋人を旗本に奪われ、死にたいほど絶望している。そこで「絶望」というあだ名で呼ばれるが、現代的なユーモアがあって面白い。田中春男のとぼけた演技は相変わらずで、気風のいい太助とは対照的な役柄だった。
そして、錦之助は一人二役で太助のほかに将軍家光を演じている。錦之助の家光は、太助とは打って変わり、ラストの気品と暖かみのある立派な若殿様ぶり。この変身、感心して、うなってしまう。
早速録画して休日の午前中位からちょっと酒でも飲みながら
錦之助主演作を鑑賞するのがささやかな幸せだよ
名作の名作たるゆえんは、何度見ても見飽きないことだと思うが、この『弥太郎笠』は、それどころか、見るたびに惚れなおしてしまう作品である。
テンポが良い。めりはりが利いている。マキノ監督特有の職人芸とも言える映画作法、世人はこれを「マキノ節」と言うが、『弥太郎笠』はマキノ節が隅々まで満ち溢れている。しかもそれが冗漫に流れず、構成もきっちりしている。
次に、出演者。これがまた全員良いと来たもんだから、嬉しくなってしまう。主役の錦之助は言わずもがなである。「りゃんこの弥太郎」を演じた錦之助は、心・技・体、すべてが充実、自信満々、最高に輝いている。スーパー・スターのオーラがある。
ファンの立場から言うと、多分『弥太郎笠』の錦之助は、彼の出演映画すべての中でナンバーワンに上げる人が多いかと思う。次に重要な役を演じたのが丘さとみだが、彼女がまた良い。ちょっとふっくらとしているが、いかにも地方の町のおっとりとした可愛い娘といった感じで、丘さとみのお雪は、観客のだれもの心に焼きつくことだろう。
彼女は決して力まず、自然体で役になりきれる天性の映画女優だ。そう私は思っている。桑山盛助の東千代之介がこれまた良い。気品があって、晴れやかで、すかっとした人柄を見事に演じている。さらに、千秋実がコミカルで良い。田中春男もみじめな役だが良い。
助演者がみんな良いのだから、錦之助プラス・ワンの場面、つまりツー・ショットの場面がどれも、相乗的に素晴らしくなるわけだ。
音楽（鈴木静一担当）がシャレている。よく聴くと、錦之助と丘さとみのしんみりとしたシーンにはフランスの恋愛映画にあるような甘い調べが静かに流れていることに気がつく。そこにお祭りのピーヒョロ・ピーヒョロといった陽気なお囃子が混じる。そのコントラストが効果的なのだ。
撮影（三木滋人担当）も注目に値する。クローズ・アップを使わず、バスト・ショットも多用せず、カット数を最小限にして全景の入る退いたショットでほとんどを構成している。これが、画面に落ち着きを与え、観客がゆったりとした気分で作品を味わえることを可能にする。
多分こうした撮影は、映画がシネスコ・サイズだということにも理由があるかもしれない。しかし、肝心な場面で使うバスト・ショットがものすごく活きている点も見逃してはならない。
それは、がらんとした松井田の家で、会う瀬を待ち望んで一人で暮らしていたお雪が弥太郎に再会するシーンである。この時の、自分の目を疑わんとするばかりのお雪の表情は、ソフト・フォーカスのアップである。この映画で人物にいちばん寄ったショットだったが、実に効果的であった。
丘さとみ(｡･ω･｡)ﾉ♡
#映画DVD(レビュー感想)
池田屋事件後の新撰組が物語の舞台となる
新規隊士募集により新撰組入りした浪人エナミ(大川橋蔵)は、厳しい隊規により隊士たちが次々と粛清されていく様を目の当たりにする、当初はとまどうエナミであったが次第に自らが処刑人を買って出るなど人が変わっていく。
多少史実と違うところもあるんだろうけど、こういう解釈も出来るよねってお話
実際新撰組は敵方を粛清するよりも組織内部において同志を粛清した数の方が多いとか聞いたこともあるし
お国のためとか高尚なことを謳っておいて、中身が崩壊してるなんてのは独裁組織にはありがちですね
厳しく融通の利かない規律、相互不信、なんか後に起こる連合赤軍事件っぽくもある
主な出演者について
近藤勇に中村竹弥（テレビ版かと思ったww)奥さんが花柳小菊だとか(見た目のイメージは芹沢鴨w)
土方歳三に西村晃、らしさ全開のヒステリックでいやらしい役、一番印象に残った。
山南敬助に大友柳太朗、新撰組の良心、主演が大川橋蔵だったので思わず『天草四郎時貞』を思い出して笑った。
沖田総司に河原崎長一郎、山南と同じく隊のやり方に疑問を持つが裏切ることはできない板挟みな役山崎烝に内田良平、監察役らしくいやらしさ全開。
ヒロインは屯所で奉公してる女の子で藤純子。
同僚の隊士で木村功、牢に囚われているイカレポンチな元隊士で菅貫太郎である。
主演の大川橋蔵は東映晩年に時たま見られるナチュラルメイクで登場するがこの姿を見るたびに普段の美男役はどんだけ厚化粧で盛ってんだよ！！と思わずにいられない仰々しい演技。
筋立ても史実もありゃしない、みんなが勝手にやり放題、ひたすら残酷シーンを展開する作品。
何だこりゃ？ 見終わって残ったのは不快感と疲労感だけ。
配役を間違うととんでもない映画になる見本。
悦ちゃん、どう思う？
爺ちゃん、どう思う？
題名は明らかに錦之助が前年に撮った「武士道残酷物語」を意識しています。これは錦之助の類まれな演技力が理不尽な武家渡世に翻弄される藩士の血筋を延々と演じ続け、最後には現代劇になってしまうという異色作で海外で映画祭の大賞を受賞し、錦之助の代表作の一つになりました。
本作もまた、美男剣士役で一生を風靡した橋蔵のキャリア中、最大の異色作といっていい存在だと思いますが、残念ながら商業的にも大失敗でさっぱり、批評家投票的にも評価を得ることが出来ませんでした。
何しろ「橋蔵主演？ どこ、どこ？」の映画になってしまっているからです。橋蔵の出番が少ないというわけではないですよ、ほぼ、出ずっぱりです。しかし、彼が日頃の美男剣士メイクを捨て、ほぼ完全なノー・メイクで画面に登場しているため、観客には橋蔵主演の映画という感じがしません（藁）。
正直言って、橋蔵のすっぴん顔では本編の主役はムリですねぇ。本人の希望だったのか、加藤泰監督流のリアリズム演出だったのか、仮に後者だったとしても、橋蔵のブヨブヨと太った緊張感のないすっぴんメイクでは、復讐心を秘めつつ、ひたすら新撰組に忠誠を演じてみせる江波三郎の危機感というものが伝わってきません。
その後の任侠物に通じるような、悪く言えば通俗的なラスト・シーンにしているのですから、尚更、橋蔵にはそれなりの美麗メイクをさせた方がよかったと思います。じゃないと、あまりにも藤純子さんの美貌とのアンマッチ振りが目立ちすぎます。
西村晃、内田良平らは、いつものように、冷酷な悪役を楽しそうに演じています。
シナリオでは、橋蔵と先輩隊士・竹内（汐路章）との男色シーンがあからさまに描かれていたそうですが、流石に本編ではカットされ、わずかに橋蔵が汐路に「最近はめったに抱いても下さらぬが…」と迫る台詞だけが残されていますが、それでも橋蔵ファンの婦女子には結構ショッキングではなかったでしょうかね。ハイキートーンの白黒画面に、血糊がブシューっと跳ね上がる加藤泰演出も含めて、橋蔵のファン層とは相容れない映画であったことは確かです。
やっぱり大川橋蔵はオカマ俳優だったか(納得)
性格が良さそう。オカマの相手には見えない。
ttp://http://blog.livedoor.jp/sinumadeni-mitaieiga/archives/7247860.html で決まりだな、さあ、どっち？ 書き込みヨロシク
おきゃんで可愛くてこれもいいいねえ〜
映画もなんかホンワカするしマキノ監督の職人芸が冴えわたる。
東海道一の若親分
ttp://https://www.youtube.com/watch?v=imoL2mG41JE ttp://https://www.youtube.com/watch?v=k__5tPlDXVQ いい年して前髪侍とは気味が悪い。
なんか他の芸できないのか！！！
汐路章「ちょ、ちょっと勘弁してよ、もう~」
想像がつかん、ゲボッ、気味が悪い。誰か薬くれないか！！
1 丘さとみ
2 美空ひばり？
3 佐久間良子
4 大川恵子
5 高千穂ひづる
6 桜町弘子
7 田代百合子
8 花園ひろみ
9 千原しのぶ
10 三田佳子
次点 ？
藤純子ってお姫様役を演じたことあったかな？
訂正ヨロシク。
テレビ版ならｶﾃ違いなので他でやってくれ
いくつになっても派手な衣装と厚化粧、いつも若い娘っ子をジャラジャラ引き連れて悦に入る右太衛門の後継者が大川橋蔵。
演技のためなら汚れ役、醜男も厭わず果敢に挑戦する千恵蔵の後継者が中村錦之助。
結果は自ずと見えている。
キムタクみたいなもん。
浦里はるみは、毒婦だね
>でも、結局何やっても錦兄なんだよな
通俗的でよく分からない結論だな、具体的に言うとどうなの？
でもそんな錦チャンが大好き、粋で伝法で男前で時代劇の申し子だ。
だね。
お小夜坊に適役とか抜かす栃木のババアがいたが開いた口が塞がらない
褒めてるのか貶しているのか分からない、だから結局何なんだ！！
それほど役によって様変わりする俳優って誰だ、具体的に書き込め！！
三船敏郎、高倉健、三国連太郎だって結局だろう
大川橋蔵の天草四郎らが、民衆蜂起の方法論、そもそも暴力は是か非かの、論争ばかりにかまけで、一向に蜂起しないし、したらしたで、またまた、これでいいのか、と議論する。語るに堕ちる、というか、語るしすぎて、カタルシスが、ない。
農民の重鎮、花沢徳衛なんて、戦っている最中に、やっぱり暴力はいくない、なんて民コロ虫そのまんま。あ、今どき民コロ虫っつってもわからないか。今風に言えば････山田洋次よ。
主人公･天草四郎は、まだまだ蜂起の利あらず、もっと大衆の中から怒涛のようなうねりが生まれるまで、時節を待たねばと、もう待てない、我慢できない、という河原崎長一郎青年たちを押さえに抑える。
そして、戦いが始まると、いろいろ方法論というか、戦術をぐだぐだ。戦略がない。戦術しかない。
そういう人が率いる蜂起軍が、結局自滅するのは歴史の必然なんだろうけど、戦いの最中に、戦術のアレかコレかをぐだぐだされても、盛り下がるばかり。
だいいち、天下の東映スタア、水も滴る大川橋蔵に、悩む男、というのが、からきし似合わない。こういう役を甘いスタアさんに振っちゃダメだろ、大島渚。そして、一緒に悩む友人に大友柳太郎、って、大友柳太郎を、悩ましても、ダメだろ。さらに、これまた女々しく悩みに悩む絵師に、三国連太郎って、くだらない悩みなんてすっ飛ばしそうな三人に、苦悩する役って、むちゃくちゃや。
そして、色男大川橋蔵には、いいなづけの純情キリシタン娘（三国の娘で、立川さゆり）と恋仲であり、同時に親友･大友の妻（やはりたいへん可愛らしい丘さとみ）とも禁断の恋、実はこちらのほうにも本題よりもお忙しい。でも、この二股愛も、クラシックな優男、橋蔵には全く似合わず。事態を混乱させはしても、複雑な心理ってのが、この東映では、お呼びでないのだ。
言えてる！
言えてる！
次郎長物は錦之助が合うよな
言えてる！
ttp://https://www.youtube.com/watch?v=imoL2mG41JE セコイからじゃないの？
ttp://https://www.youtube.com/watch?v=eB5rHteNdog この山田洋次大先生の下町ドラマはまあまあ
嫌いでもないが
めちゃくちゃ好きというわけでもない
うまくいえない
幸いに被害はありませんでしたが次からはお気を付けくださいませ。
ソフト化されないの？
脇に石立鉄男や常田富士男が出てて、びっくり
VHSだけみたい、アメリカ版DVDはあるみたい？
爺さん、オシメ交換してやってるの？
って爺さんも家庭内感染か
ってじっちゃんはどうよ
鶴田、若山とか
東千代之介、大川橋蔵、伏見扇太郎、
里見浩太郎、山城新伍、尾上鯉之助、
沢村精四郎、山波新太郎、高島新太郎。
ミッションコンプリート
首都殲滅
by錦之助
市原悦子や生田悦子は亡くなりましたよ。
奈美悦子や志穂美悦子は存命ですが
市原在住の悦ちゃんはとてもお元気で先日も二人で焼き鳥ビールでデイトしましたよ。
生田在住の悦ちゃんは知りません。どなた？
市原悦子と原悦子の違いを説明せよ
言いたい事をいい加減に言い、他人を貶した楽しむだけの話な
錦之助は最低
大川橋蔵が娯楽時代劇に合う
